「鄧小平越え」を目論む習近平は、その“実績”として“統一”に動く(写真:AP/アフロ)

 一部日本メディアによると、中国の全人代(全国人民代表大会=国会のようなもの)で、国家統一法制定に向けた議論が進んでいるそうだ。代表の一人、北京大学台湾研究院の李義虎が一部海外メディアの取材を受けて、そう答えたそうだ。すでに反国家分裂法が2005年に制定されており、これが事実上の武力による台湾統一の選択肢を認めた“国家統一法”だといわれてきたが、それ以上に効力のある法律を制定したいということだろうか。おそらくは台湾に対する一層の牽制が目的であり、本当に成立するかどうかは未定というが、福建や浙江など、台湾海峡を眺める地方のトップを歴任した習近平政権が台湾統一に並々ならぬ意欲を持っているのは事実で、台湾海峡、東シナ海情勢が国家安全に直結する日本人としては少々気になる情報である。

独立派に警戒、武力統一に言及

 今年の全人代の開幕式で読み上げられた政府活動報告の中で、耳目を集めたのは、香港の独立派と台湾の独立派に対する厳しい牽制の表現だった。香港独立派という従来使わなかった言葉を政府活動報告に入れたことと、両岸一家親といった従来使う台湾同胞への親しみを込めた表現が入らなかったことが、習近平政権の“独立派”への警戒感がにじみ出ている。

 今回の全人代、政治協商会議の両会期間、台湾問題、香港問題についての議論もさかんに行われた。

 全人代には台湾“省”出身の代表による台湾“省”代表団が存在する。3月10日は、その台湾“省”代表団全体会議が行われたのだが、その会議後に国務院台湾事務弁公室主任の張志軍が記者たちに対して「台湾独立派が最終的にたどり着く先は統一しかない。台湾独立派のもたらす統一ルートは台湾社会、台湾の民衆に巨大な損害をもたらす」と厳しいコメントを吐いた。つまり台湾が独立国家としての地位を目指したとしても、最終的には中国に併呑されるのだが、その併呑のされ方は武力統一になるので、台湾に与える損害は巨大になるだろう、ということである。

 いわゆる対台湾政策の窓口となる弁公室主任がここまで恫喝めいて武力統一論に言及するのは、なかなか緊迫した空気を感じさせる。