外交部と国防部の発言の温度差は、縦割り行政の典型のような中国政府ではありがちのことだが、ひょっとすると就任以来、対台湾外交工作の結果が思わしくなく、習近平から最近あまり覚えめでたくないという噂の王毅自身は、何も知らされてなかったのかもしれないと、疑ってしまうほど外交部の存在感が軽んじられている。

 ところで、南シナ海の軍事拠点化について、これまであくまでも民間施設だと言い張ってきた習近平政権が、なぜ、この時期に、すでに軍事拠点化を進めていることを敢えて隠さなくなったのか。

軍事拠点化をなぜ今、隠さなくなったのか

 ウッディー島は面積にして2.1平方キロ(現在は周辺を埋め立て拡張して2.6平方キロ)。パラセル諸島の中で最大の島だ。パラセル諸島については、第二次大戦に敗北した日本が中華民国に返還、1950年に国共内戦に敗れた海南島の国民党軍が敗走してくるも、中国共産党の武装漁民に制圧された。以降、パラセルの東部は中国が実効支配、一方西部は米国の支援を得て南ベトナム(ベトナム共和国)が実効支配。1974年、中国はベトナム戦争末期で弱体化していた南ベトナムが実効支配していたパラセル西部に侵攻、南ベトナムの護衛艦を撃沈して、西部の実効支配に成功する。だが、ベトナムと台湾はともに領有権を主張し続けている。

 中国はウッディー島に1988年に2600メートル以上の滑走路と港湾を建造。2012年には海南省三沙市への行政区分が公式に発表され、南シナ海の中国が領有を主張する西沙、南沙、中沙の軍事、政治、文化の中心と位置づけられた。現在解放軍、武装警察部隊、役人、若干の漁民を含む1000人が住み、ガソリンスタンドも銀行もスーパーもファストフード店もあるミニ都市島が出来上がっている。

 ウッディー島が南シナ海における解放軍空海軍軍事拠点となっていることは周知の事実であったが、中国側はこれまで地対空ミサイル配備などは認めてこなかった。米国防総省はウッディー島に少なくとも過去2回、地対空ミサイルを配備したとしている。過去2回は、演習のための一時的な配備だが、今回は中国側の開き直りの態度から、恒久的な配備ではないかという懸念がある。なぜ、今のタイミングで、中国はこういう行動に出たのだろうか。

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