しかしながら、このダボス会議では、EUの元首があまり参加していなかったこと、そしてトランプの登場があまりに国際社会にとってショックだったことも手伝って、習近平にスポットライトが当たった。

 BBCなどは、事前から、習近平がダボス会議のスターになると予想しており、習近平がわざわざダボス会議に出席した理由として、「自由貿易の優勢を称賛し、世界の最も友好的な貿易パートナーであることをアピールするため。この場で、中国のパブリックディプロマシーの一環として、世界を説得し、中国の台頭が人々の利益になると訴えるのが狙い」と伝えていたが、まさに、その通りとなった。

 ダボス会議のスポークスマンは、環球時報に対して「習近平主席が世界経済とグローバル化において、世界のカギとなる問題に影響を与え、人類の幸福と発展に対して提案を出してくれることを期待する」などとたぶんにリップサービスも入ったコメントをしていたが、トランプの非常識ぶり、無茶ぶりのおかげで、習近平がなんか、真っ当なことを言っているような錯覚に陥りやすくなっているのは確かだ。

「一帯一路」のてこ入れ、手応えは…

 トランプがTPPを離脱し、保護主義をとり、国内就業と経済成長にのみ注意力を払うタイミングで、中国としてもう一つ期待することは「一帯一路」戦略のてこ入れである。現代版シルクロード構想ともいわれるこの戦略は、陸のシルクロードと海のシルクロードの沿線国である中央アジア、東南アジアにおける経済一体化構想だが、昨年11月に、李克強がニューヨークを訪問した際に、キッシンジャーを含むトランプ政権のブレーンや金融関係者らと座談会をもって、「一帯一路」について、かなり詳細に説明したという。

 このとき、中国側は、トランプ政権やニューヨークの金融街が「一帯一路」に関心をもっているという手応えを得ていたという。中国としては、こういったいきさつを踏まえて、トランプはビジネスマンであり、経済面では交渉できると踏んでいたからこそ、選挙前には、トランプを影ながら応援していた。