中国企業としては、どのような影響を受けるだろう。一番気になるのは、いずれ実施されるであろう中国製品に対する関税45%への引き上げである。

関税45%、乗り切れると強気だが…

 少なくとも対米輸出が業務の大口を占めている、中国アパレル業界、家具業界、皮革産業、電子産業はもろに打撃を受けることになる。これら産業の利益率は全部45%以下なので、45%の関税をかけられたら、利益を生まない。実質全面的に対米輸出を停止せざるを得ない。これにより中国家具産業は生産規模が15%縮小せざるを得ないという試算もある。アパレル、皮革、電子産業も少なくとも5%の生産規模縮小が予想されている。

 そうなると、大手輸出代理企業も打撃を受けるわけで、例えば広州発の衣料品・おもちゃ・旅行・スポーツ雑貨などの輸出を手掛ける国際輸出企業・香港李豊集団の米国向け業務は売り上げの61.9%を占めているし、香港に本部を置き、レジャー、ファッション、靴ブランドを世界展開している九興ホールディングスも、その収入の49.7%を米国から得ている。これら企業は存亡の危機に直面することになる。

 ただ、中国全体としては、対米輸出が全輸出に占める割合は18%程度で、中国の通商官僚らは「短期間ならば耐えられる」という楽観的な見方を示す意見の方が多い。

 元国家対外経済貿易部副部長の龍永図が先日、フェニックステレビ主催のシンポジウムで、「中小企業はトランプの中国製品に対する高関税政策を恐れる必要はまったくない」と発言していた。その根拠は、トランプを当選させた有権者は中低所得者であり、最大の利益享受者は米国の中低所得層であり、中国製の低価格商品はその中低所得者に利益をもたらしてきたのだから、最終的にはトランプは中国製品を排除できない、という理屈だ。

 さらに、中国は米国にとって最大の農産品輸出国であり、もし、中国が対抗策として米国の農産品に関税を20%かければ、米国農業の打撃は、中国製品排除によって生まれる数十万の雇用よりも大きいかもしれない。だからトランプは最終的に、中国製品排除政策はとれない、という。

 龍永図は昨年9月にトランプとの面会を果たしており、その時の印象ではトランプの対外貿易についての理解は一知半解であり、もし、トランプが米中貿易の全体を正しく理解すれば、いったん45%関税を実施しても、すぐに調整すると考えているわけだ。あるいは、中国側も米国農産物に対する高関税カードをちらつかせて、トランプを説得する自信があるようだ。龍永図は、トランプがいずれ正気になって、中国製品の高関税が自国の経済や国民の福利にとってもマイナス影響の方が大きい、と気づくはず、という予測でものを言っているわけだが、それはひょっとすると希望的観測にすぎるかもしれない。