李波は17日に桂民海がCCTVで懺悔した翌日、妻に手紙を送っているが、それによると、「桂民海の来歴は非常に複雑で、それに私も巻き込まれた」という。

 銅鑼湾書店関係者の失踪はこの2人以外に、店長の林栄基ら3人いるが、彼らの安否はまだ確認が取れていない。

「主権侵害」の知識人狩りが横行

 たとえ李波の手紙が真実であっても、あるいは桂民海の懺悔が真実であっても、中国公安当局がとったプロセス自体は、明らかに香港やタイの司法、主権を無視したものである。いくら本人が望んだからといって、香港出入境管理当局や香港警察当局が知らない間に、香港から香港人あるいは外国人を中国国内に連れ出すようなことが許されて良いわけがない。ましてや、タイのような完全な独立国から、中国人を密出国という形で勝手に連れ出すなど、明らかな主権の侵害である。

 タイではこの事件に続いて、中国人元編集者が失踪する事件が起きている。香港に拠点を置くラジオフリーアジアによれば、元南都ニュースサイトの編集者、李新が1月半ばにタイで失踪。妻は中国当局に拉致されたと考えており、知人を通じて、タイ警察に捜査を求めているが、タイ警察はこれを拒否しているという。

 李新は中国政法大学法学部を卒業後、2007年に公民社会ネットという公民社会を提唱する情報サイトを設立。2010年にインドに留学し、2012年に帰国後、国家安全当局に軟禁され、海外における情報収集に協力するよう迫られた。早い話が、公民運動家としての人脈を持つ李新は、中国国家安全当局から半ば脅しによってスパイにリクルートされたわけだ。2013年から南都ネットの編集者を務めながらスパイ活動をしていたが、仲間への裏切り行為に耐えられず、昨年10月、中国から逃亡、各地を転々としたのち1月1日にタイに入った。妻は、1歳の子供をつれて昨年12月、香港経由で出国しようとしたが、深圳で足止めされたという。