ここで、問われるのは、日本と日本企業の姿勢だろう。

「次は日本だ」の覚悟を

 日本では新版広辞苑が掲載地図で台湾を「台湾省」と表記し、台湾当局から強い抗議を受けたが、もともと親中派の岩波書店は記述に誤りはない、と開き直った。日本の場合、台湾の表記に関しては、必要以上に中国寄りになっている企業の方が多いかもしれない。その一方で、台湾シンパの日本人も多く、2020年の東京五輪で台湾をチャイニーズ・タイペイではなく、台湾という正名で参加を求める日本人による署名運動が民間で徐々に拡大している。どういう姿勢をとるかは、個々の歴史に対する理解、解釈とビジネス上の利益との兼ね合いの問題かもしれない。

 だが、台湾が“平和統一”であれ“無血開城”であれ“武力統一”であれ、中国の一部となってしまうと、次に脅かされるのが日本の領土、尖閣であり沖縄である、という事は忘れてはならないだろう。価値観を共有する台湾の“民主主義国家”としての存在が、日本の安全保障に不可欠であるということも。

 日本企業は、中国を刺激、挑発するような言動をする必要はないが、少なくとも世論が台湾の人々の意に反して中台統一の外交圧力に利用されるような状況に加担するような真似をしないことが、単なるビジネス上の利益以上に、切実な日本人にとっての利益であるとを忘れないでほしい。

 中国共産党の第19回党大会で、習近平が徹底した共産党独裁を目指していると明らかになった。自分の姿を毛沢東に重ねる絶対的指導者として歩もうとしている次の5年は、国際社会をも巻き込む大きな悲劇をもたらすだろう。党中央の指導(=自分の意見)に抵抗するものは排除し、人民の統制と監視を強化、合弁・民間企業まで従わせ、中国の強国化、強軍化でアジアを支配。日本の安全保障や経済問題は、どんな影響を受けるのか、詳細をレポートする。
徳間書店 2017年11月29日刊

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