中国外交部は定例記者会見で、「香港、マカオ、台湾、チベットが中国の一部であることは客観的事実であり国際社会の共通認識。北京は外国企業の対中投資を歓迎しているが、中国に進出する外国企業は当然、中国の主権と領土の保全を尊重し、中国の法律、民族の感情を尊重してもらわねばならない」と改めて企業に対するイデオロギーチェックの必要性を強く打ち出した。

バチカンと関係修復、戦闘機侵入は倍増

 中国がネットなどを通じて大衆をけしかけて、不買運動や抗議活動を起こさせることは以前からちょくちょくあり、たとえば、2017年、THAADミサイルの配備問題で、韓国のロッテ系列のスーパー約80店舗を閉店に追い込んだり、2012年の尖閣諸島国有化で、日系企業への焼き討ち暴動を扇動したりした。一見、民衆の怒りが爆発したようにみえるが、こうした動きは、実際のところ、当局の世論誘導によるものである。これは当局が大衆の言論や暴力を外交圧力に利用しようという政治的意図と同時に、大衆のガス抜き効果も兼ねていた。

 だが、習近平政権二期目に入って、韓国や日本との関係改善の必要性が迫られてくると、こうした世論のガス抜きの矛先も、韓国や日本にばかり向けてもいられない。同時に、第19回党大会で強く打ち出した「偉大なる中華民族の復興」の今世紀半ばまでの実現へのファーストステップは、台湾統一に照準を定めるとみられている。

 企業などに対する踏み絵だけでなく、その他の外交攻勢も強化されている。中国は目下、台湾と国交があり中国と断交中のバチカン市国との関係修復を模索しており、3月には双方が40点ずつ美術品を交換して展示ツアーを行う美術外交が計画されている。もし、バチカン市国が万一にでも中国と国交を結ぶことがあれば、台湾は最も影響力を持つ国との外交関係を失うことになる。

 また解放軍の台湾に対する圧力自体も高まっている。2017年、中国戦闘機が台湾海峡の中間線を越えてきたのは少なくとも20回、2016年の8回の倍以上。また今年になって、中国の民間航空局は、台湾との事前協議なしに、一方的に台湾海峡の中間線より7.8キロしか離れていない民間航空路線の使用を開始、これは明らかに台湾に対する威嚇でもある。昨年は、台湾人NGO職員李明哲が政府転覆容疑で逮捕された事件もあった。

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