2014年秋、香港の若者が雨傘革命で公道を占拠しながら真の普通選挙要求運動を行っていたとき、日本の少年漫画「進撃の巨人」に香港の状況をなぞって語っていたことを思い出した。

香港の「最後の壁」が壊されかけている

 香港人は3つの壁からなる一国二制度に守られて“香港の繁栄”を享受していた。一番外側にあるのが自由主義経済の壁。真ん中にあるのが民主・言論の自由の壁。最後の砦が司法の独立の壁。一番外側の壁はすでに破られていた。雨傘革命は真ん中の壁が破られそうになって、あるいは破られ始めて、それを必死に食い止めようと戦っているのだ、と言っていた。あれから1年あまり、今、司法の壁が巨人に壊されかけている。

 さすが英国政府も英国籍保持者の李波の安全確認を香港政府と中国政府に求め、訪中していた英ハモンド外相が王毅外相との会談で持ち出したようだが、王毅外相は李波について「この男は中国公民であり、根拠のない推測をすべきではない」と反論している。この5人の失踪が中国当局による拉致であるというのが、本当に根拠のない推測であったならどれほどよいか。

 香港では10日、この事件に対し、5人の即時釈放を訴えて数千人規模の抗議デモが起きている。だが、李波の妻は、夫の安全を懸念して、個人的理由で内地にいったので、抗議デモに参加しないでくれと懇願していた。もはや香港人だけでは香港を守りきれなくなってきている。ここで、国際社会が何もアクションを起こさなければ、香港の一国二制度は完全に失われてしまうだろう。

 このまま、香港が食われてしまうのを、私たちは黙ってみていていいのだろうか。

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