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月の裏側への着陸に、世界で初めて成功した中国の月探査機「嫦娥4号」(提供:Imaginechina/アフロ)

 中国は1月3日、国産無人探査機「嫦娥4号」の月面の裏側への軟着陸に成功した。地球から見えない月面の裏側への着陸は世界初の快挙。着陸後の映像はすぐに地球に送られ、3日付けの人民日報号外の1面を飾った。次々と公開される高解析度のフルカラー月面写真に国際社会も沸いた。嫦娥4号が月面に運んだ探査車(ローバー)・玉兎2号は、すでに月面を走りながら中性子線量や地形、地質調査を開始、ジャガイモなどを植える計画もあるらしい。経済・貿易分野では米国からの厳しい圧力に苦戦を強いられ、経済の急減速は庶民生活にもじわじわ影響がでている中国だが、月面開発を含む宇宙開発競争で米国に先んじることができれば、この米中新冷戦の行方はまだまだわからないかもしれない。国内の政治不安や動乱、人民の飢餓といった地上の困難をものともせず、核兵器と宇宙衛星開発(両弾一星)に成功した毛沢東時代のように、習近平政権も国内のさまざまな矛盾を押し込めて宇宙強国の道を切り開いていくのだろうか。

 新華社によれば、嫦娥4号は人類最初の月の裏側に降り立った探査機であり、中国が、旧ソ連、米国がともに月に関する“人類最初”の栄誉に並んだ象徴だとしている。

 3日午前10時26分、嫦娥4号探査機は月の背面東経177.6度、南緯45.5度付近の南極エイトケン盆地(クレーター)に着陸。これは12月8日に打ち上げられ、予定通りの時間と場所に着陸したということになる。さらに着陸後、昨年5月に打ち上げられていた中継衛星・鵲橋を通じて、世界で最も近距離の月裏面写真映像を地球へと送信した。これは人類が最初に月面に探査機を送り込んだルナ9号(1966)、アポロ11号船長のアームストロングが月面に降り立ったアポロ計画以来の快挙ということで、中国側に大いなる自信を与えることになった。

 嫦娥4号の月背面着陸成功は、中国の宇宙技術のコントロール精度、特に垂直着陸の精度が極めて高い世界最先端レベルに到達しているということを証明した。事前に打ち上げられた世界初の地球-月のラグランジュ・ポイントを通るハロー軌道を周回する鵲橋衛星の技術ともども、確かに中国の月面解発に向けたハイテクイノベーションが“本物”であるということは認めざるをえない。NASA長官のジム・ブライデンスティーンやロシアのツィオルコフスキー宇宙研究院のアレクサンドル・ジャレズニャコフらの称賛コメントが新華社を通じて配信されている。