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レース開催によって社会の小型航空機への認識が深まる

それでも日本に拠点を置くと、国土交通省・航空局をはじめとした関係官庁や、地元福島県との折衝などで大変ではありませんか。

室屋:理解を得られるまでにはもういろいろありました。そもそも2015年からレッドブル・エアレースを千葉県で開催するにあたっては、航空局の方々ともずいぶん話し合いました。

今年2018年は、レース機が離発着できるかどうかの許可が開催ぎりぎりまで出ないという事態になりましたよね。一部では、レースの興行のために航空法を曲げるなとする厳しい報道もありました。

室屋:今年の開催にあたっては、当初厳しい見解もありました。膝詰めの交渉を重ね、また、運航側の安全への取り組みを理解してもらって実現にたどり着きました。これは、レッドブル・エアレースの開催にあたっては、航空局も高いレベルでしっかりとかかわっていることを意味します。粘り強く交渉を続ける中で、私たちも航空局でどういう方たちがどうやって仕事しているかがわかってきました。

 レースとなると、メディアが一斉に報道しますから、注目度が高いです。レース用の機体は現在最高の技術の粋を集めたものですが、法規上の区分では実験航空機、つまりエクスペリメンタルとなります。ですからレッドブル・エアレースを開催し続けることによって、エクスペリメンタルの区分に入る航空機が技術的レベルの低い機体ではない、という認識は広く浸透してきたと思っています。

 レッドブル・エアレース千葉大会はこれまで、浦安市の海岸沿いの浦安市総合公園を航空法の定める場外離着陸場として申請して許可を取り、そこから離陸して千葉市の幕張海浜公園の海岸沿いの海上に設定したレースコースへと飛んでいた。ところが今年は、これまで場外離着陸場として使っていた場所のすぐ横にホテルが開業してしまい、航空法の滑走路の近くには高い建物があってはならないという制限に抵触してしまった。最終的にはホテルを借り切って無人にするという条件で航空局の許可を得た。

レースの意義は単なる興行に留まるものではないという認識ですね。レッドブル・エアレースは2015年以降、毎年千葉で開催しています。レースを開催することで、何か日本の航空をめぐる状況が変わったとお思いですか。

室屋:いや、まだ基本的には変わってないです。今の状況は法律で決まっているものですから、変えようとするなら航空法の改正ということになります。これはそう簡単なことではありません。実現するとしても5年とか7年とか、相応の時間がかかるでしょう。

航空をめぐっては、日本と米国との間に絶望的にも思える格差があります。それは何に起因していると考えているでしょうか。