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日の丸を背負うなら日本に拠点をおかないと

室屋:自分も米国で免許を取りましたから、あの国のジェネラル・アビエーション(自家用機など、定期航空以外の民間航空の総称)の充実ぶりは身をもって知っています。それこそロサンゼルスの一飛行場だけで、日本の全自家用機と同じぐらいの数の機体が置いてあるというのを見てますしね。

 単純にパイロット、つまり航空機のオペレーターとしてなら、アメリカで仕事をしたほうが全然いいです。でも、自分はスカイスポーツの世界選手権に、こういう言い方がいいかはわかりませんが日本代表として参戦しています。日本の旗を掲げる以上は、日本に拠点を置きたいと思ったんです。それで、このふくしまスカイパークを拠点として使わせてもらうことにしたわけです。

 ふくしまスカイパークは、競技用機の拠点を置くにはかなり条件の良い飛行場です。十分な長さのあるしっかりした滑走路がありますし、民間機の練習空域の中にあるので飛び立つとすぐに練習ができます。標高400mほどの山の上にあるので、雲や霧の条件は標高70mほどの平野部よりも悪いのですが、ここが霧でおおわれる時は、平野でも有視界飛行の条件を割り込んでしまうんです。つまり有視界飛行が基本の競技用機としては、飛行できるコンディションの日数は平野の飛行場と比べてそんなに大きくは変わりないんですよ。

 福島市の郊外に位置するふくしまスカイパークは、法律上は場外離着陸場に区分される飛行場だ。800mの滑走路を持ち、官公庁のヘリコプターや自家用機が主に利用している。

 定期航空が就航する福島空港とは別に、このような小さな飛行場ができるにあたっては、やや込み入った事情が存在する。バブル経済真っ盛りの1988年、農林水産省が「農道空港」という構想を打ち出した。農道を利用した小さな空港から小型機を飛ばし、地方の農産物を高速に消費地へ運ぼうというものだ。そのため農水省の予算で、全国8カ所に農道空港――正式には農道離着陸場という――が建設された。そのひとつがふくしまスカイパークだったのである。

 農道空港の構想はうまくいかなかった。小型機による農産物輸送は高コストである上に、高速道路の建設が進み、トラックでも十分な高速輸送が可能になったからだ。農産物輸送事業の終了後、これら農道空港は地方自治体の予算で多目的離着陸場として運営されている。

 室屋氏は1999年からふくしまスカイパークを自らの活動の拠点としている。現在のふくしまスカイパークは、曲技飛行の練習やベンチャーの技術開発拠点としても利用されるようになっている。