第2段を捕捉できなかったロシア

 今回発射された火星14号は、5月に発射された火星12号に第2段を追加したものらしい。ここで興味深いのは、ロシア国防省が当初は「高度535kmに到達し、発射地点から510kmのところに落下した」と発表したことである。おそらくこれは第1段の到達高度と飛行距離であり、ロシアのレーダー網ではより小型の第2段を追跡できなかったらしいことを示唆している。

 このことがロシアの態度にどう影響するかは気になるところだ。今回の発射地点からモスクワまではおよそ6300km。北朝鮮のミサイルがどちらを向くかは、金正恩最高指導者の意志ひとつである以上、火星14号はロシアにとっても潜在的脅威と言えるからだ。

 7月6日、火星14号発射を受けた国連安全保障理事会の緊急会合が始まった。エスカレートする一方の北朝鮮の“瀬戸際の挑発”に対して、これまで北朝鮮との対話を主張してきた中国とロシアがどのような態度をとるか、また、北朝鮮との対話路線を主張して当選した韓国の文在寅大統領の去就が注目される。

 北朝鮮がICBMと核兵器の両方の開発に成功してしまうと、事態の収束は一層困難になる。早期に国際社会の対応を一本化しないと、北朝鮮問題は更なる泥沼へ、さらには破局的な事態へと進行していく可能性もあるだろう。

 なお、北朝鮮がICBMの開発を用いて、米国にどうプレッシャーを掛けているのかと、ICBMについての細かな技術的考察については「北朝鮮、パレードで見せたハリボテICBMの意味 『米本土を狙う固体推進剤ミサイルの開発を止めない』と宣言」「新型ICBMで見えた、北朝鮮の強かな技術開発 『火星12号』の発射実験を読み解く」をお読みいただきたい。