世界はスペースXをもう無視できない

 若い世代にとって、宇宙を飛ぶテスラ・ロードスターは宇宙への誘惑であろう。「すでにこれだけのことができる。もっとすごいことを一緒にやらないか」だ。

 そして、既存の宇宙機関へは「お前達がやらないなら、我々がやる」という挑発と考えるべきである。

 実際、ULAだけではなく、世界の宇宙機関はすべて、そろそろスペースXの挑戦を「跳ねっ返りのお手並み拝見」と静観するだけで済すことはできなくなりつつある。このまま行くと、ひょっとすると米航空宇宙局(NASA)のSLSも欧州のアリアン6も日本のH3も中国の一連の新世代長征もロシアのアンガラもインドのGSLV Mark IIIも、すべて時代遅れにされかねない。

 しかも、アメリカの“ニュースペース”と呼ばれる宇宙ベンチャーは、スペースXだけではない。この後にはAmazonのジェフ・ベゾス率いるブルー・オリジン社の新ロケット「ニュー・グレン」が2020年初打ち上げを予定しているのである(ベゾス、ロケットでも「アマゾン流」? ブルー・オリジン、突如大型ロケットを発表:2016年9月29日 参照)。

 確かにスペースXは危ない橋を渡り続けている。しかしその橋は徐々に、未来につながるものになりつつある。

 松浦さん、お待ちしていました。おかえりなさい、宇宙の世界へ。
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(担当編集Y)

■変更履歴
本文3ページで当初「ロシアのみが、静止衛星の静止軌道直接投入を実施していた」としていましたが、読者の方から「米国は軍事衛星の静止軌道直接投入を行っている」との御指摘をいただきました。また、4ページの「基盤」は「基板」の誤りでした。お詫びして訂正致します。 [2018/02/11 12:00]