火星植民の野望へ賭けは続く

 スペースXは、公式にはどの衛星をいつ打ち上げるかを公表していない。が、1月13日付けの米ウォールストリート・ジャーナル紙は、財務情報などの分析に基づいて、スペースXは2017年に27機の打ち上げを予定しており、2019年には1週間に1機の割合で打ち上げることになると報じた。

 これは一民間企業の打ち上げ回数としては、驚異的な回数となる。国別で見ると、2016年には、米国と中国がそれぞれ22機のロケットを打ち上げている。スペースXを含む米国全体で22機、上げ潮の勢いに乗る中国ですら年間22機なのだ。機体の製造、打ち上げ準備作業、実際の打ち上げ、と、考えていくと、ケネディ宇宙センターLC-39Aとヴァンデンバーグ空軍基地の2射点でこなすには限界にちかい。おそらく、早期に爆発事故で破壊されたLC-40射点を復旧する必要があるはずだ。

 2019年の“週に1機”となると、さらに大変なことになる。1970年代から80年代、最盛期の旧ソ連は、バイコヌールとプレセツクという、それぞれ多数の射点設備を擁する2つの打ち上げ基地を使って年間100機あまりを打ち上げていた。宇宙基地1つでほぼ“週に1機”だ。かつてのソ連並みに打ち上げを実施するためには、さらに射点設備を拡充し、打ち上げに携わる人員を増やさねばならないだろう。そこまでやってバックオーダーを解消しないと、スペースXに対して顧客が抱く不信は解消されない。

 爆発事故からの復帰で、スペースXは賭けに勝った。が、賭けはまだまだ終わらない。そして、賭けに勝ち続けねば、イーロン・マスクが最終的に目指す「火星植民」という野望への道は開かないのである。

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