この明治男で言うところの「明治」は、昔の男性によく見られた「頑固さ」を表現する修飾語なのでしょう。つまりここでの明治もまた「旧世代を象徴する表現」であるわけです。付け加えるならば「昭和生まれ」という表現の方にも、平成2年の受賞時には「ほんのりとしたレトロ感」が漂っていました。

 したがって「平成」という言葉も、そう遠くない将来に「旧世代を象徴する言葉」に変化する可能性があります。「平成J-POP」「平成レトロ」「平成顔」「平成男子」などの言葉が普及するのも時間の問題かもしれません。

平成に起こること(2)「平成」という商標が登場する

 もうひとつ指摘したいのは「平成」という商標が登場する可能性です。

 特許庁のウェブサイトには「出願しても登録にならない商標」という解説コーナーがあります。その解説によれば「自己と他人の商品・役務(サービス)とを区別することができないもの」「公共の機関の標章と紛らわしい等公益性に反するもの」「他人の登録商標や周知・著名商標等と紛らわしいもの」は、出願しても商標にはなりません。このうち最初の条件に該当するものとして「単位」(グラムやメートルなど)などと共に示されている事例が「現元号」、つまり今でいう「平成」なのです。

 これは逆に言えば「現元号が旧元号に変われば、商標として使用できる可能性がある」ということに他なりません。

 実際、過去の元号をそのまま商標登録した事例はいくつもあります。例えば平成時代になり登録が可能になった「昭和」の場合、楽器の商標である「昭和」(昭和楽器製造株式会社/第3265661号)、飲料の商標である「昭和」(昭和産業株式会社/第4020365号)、運送業の商標である「昭和」(有限会社昭和運送/第5804835号)などが登録商標として認められました。

 そこで知的財産権関係者の一部に「改元に伴い、商標の出願ブームが起こるのでは?」と予測する向きがあるようです。

まとめ ~明るい改元というレアな出来事~

 ということで今回の「社会を映し出すコトバたち」は、「改元で言葉の世界に起こる出来事」をテーマにお送りしました。まず新元号の登場に伴い、固有名詞、人名、マスコミ、ITなどに影響が生じる可能性について紹介。続いて旧元号と化した平成が、旧世代を象徴する言葉となるだけでなく、商標にも影響を与えそうなことを紹介しました。改元の社会的影響が「言葉の分野に限っても」いかに多大なのかが分かります。

 今回の改元は、天皇の崩御が契機となった過去の改元とは異なり、退位を契機とする改元となります。おそらくは、非常に華やかな雰囲気のなかで行われる「非常にレア」な改元となることでしょう(退位が恒久化するかどうかは現時点で不明です)。新しい元号について明るく語り合える状況も「非常にレア」ですので、この機会に、平成と新元号の行く末を楽しく観察してみてはいかがでしょうか。