モリカケ問題 ~行政プロセスの不透明を問う~

 最後はおなじみの話題となった「モリカケ問題」を選んでみました。大阪府豊中市の国有地払い下げにおいて不明瞭な値下げが行われたとする「森友学園問題」と、獣医学部新設の認可プロセスが問われた「加計学園問題」の総称です。今年の新語・流行語大賞の大賞を受賞した「忖度(そんたく)」も、元はといえば森友学園問題における口利きの有無を問う場面で登場したものです。

 どちらの問題も2017年に発覚した話なので、当然のことながら新聞記事のグラフも2017年にのみ数字が現れる形となりました。ただ筆者個人として少々意外だったのは、新聞記事において「モリカケ問題」や「もりかけ問題」などの言葉が登場した記事数が「思ったほど多くなかった」ことです。詳しい検証はしていませんが、モリカケ問題は、週刊誌やテレビなどで好まれた表現だったのかもしれません。

 日経ビジネスオンラインでは、コラムニストの小田嶋隆氏が「モリカケ問題が沈静化しない理由」と題するコラムを発表しています。またモリカケ問題という言葉こそ登場しないのですが、森友学園関係で「森友問題に見る、自浄できない自民党の限界」(ジャーナリスト/田原総一朗氏)などの記事が、加計学園問題関連で「加計問題が映し出す日本の『本当の病』」(小宮一慶氏)などの記事が登場しました。

分断と虚実の一年

 ということで、ここまで2017年の新語十選を紹介しました。改めて今年選んだ語を紹介すると「働き方改革」「人生100年時代」「加熱式タバコ」「ガス自由化」「フェイクニュース」「ミレニアル世代」「プレミアムフライデー」「レッドライン」「EVシフト」「モリカケ問題」の10語ということになります。一部、筆者の個人的な思い入れのある言葉(レッドライン)も含めましたが、今年の世相をそれなりにまとめることができたのはないかと考えております。

 毎回、十選に現れる「その年のトレンド」を分析するのも、個人的な楽しみとなっております。今年は「大きな構造変化」「笛吹けども踊らず」「分断と虚実」という3つのトレンドを見出すことができました。

 「大きな構造変化」に相当するのは「働き方改革」「人生100年時代」「ガス自由化」「ミレニアル世代」「EVシフト」といった言葉。つまり労働のあり方も、人生設計や社会制度のあり方も、エネルギー産業や自動車産業のあり方も、社会を構成する人々の価値観そのものも、大きく変わりうる可能性があるのです。

 また「笛吹けども踊らず」に相当するのは「ガス自由化」と「プレミアムフライデー」の2語。関係者がいろいろ準備を整えても、世間があまり反応しない状況も目立った年でした。

 そして「分断と虚実」に相当するのが「フェイクニュース」「レッドライン」「モリカケ問題」の3語です。いずれも異なる立場の「分断」を感じさせる言葉であっただけでなく(フェイクニュースではトランプ政権と政権を批判するメディア、レッドラインでは米国と北朝鮮、モリカケ問題では与党支持派と野党支持派の間で、建設的対話が不足する状況があった)、それらに関連する報道や世間の反応に「虚実入り交じる情報が錯綜した」という共通点があります。このようなトレンドが世界的に同時進行していることが、筆者には非常に興味深く思えました。

 さて来年はどういう年になるでしょうか。本コラムで紹介した記事を読み返しながら、来る年の姿を想像してみてはいかがでしょうか。どうか良いお年を。

おまけ:2016年までの新語十選