10月29日の夕方、ソウル中心部のチョンゲ広場に、「朴槿恵退陣」「チェ・スンシルと朴槿恵、どっちが本当の大統領なのか」「こんな国でいいのか」などと書かれたプラカードを持った市民が集まった。韓国警察は1万2000人を超える人が集会に参加したと発表。ここ数カ月の間にソウル市内で行われた反政府集会の中で最も規模が大きかった。

朴槿恵大統領の弾劾を求めて集まったソウル市民(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 「韓国ギャラップ」が10月28日に発表した世論調査の結果によると、「朴大統領が国政を上手く運営している」と答えた人は17%にとどまった。9月の調査では33%だったので、1カ月ほどの間に半分近くに減少した。どんな時でも朴大統領を支持する「コンクリート支持層」と呼ばれる地元「慶尚北道」と「60代以上のシニア層」でもそれぞれ27%、36%と50%に満たなかった。

 韓国中が大騒ぎになっているのは、朴槿恵大統領が古い友人である民間人のチェ・スンシル氏(現在はチェ・ソウォンに改名)に機密文書を渡し、重要な演説から、長官の人事、経済やスポーツ・文化・外交・北朝鮮などあらゆる政策について彼女のアドバイス通りに行動していたとされる疑惑のせいだ。

 チェ氏は、朴槿恵大統領を仕事の面でも私生活の面でも70年代から世話していたとされる。「まさか朴大統領がチェ氏の言いなりになっているはずがない、デマに違いない」という支持者の声もむなしく、朴槿恵大統領は10月25日に国民に向けて謝罪文を発表。大統領に就任する直後までチェ氏に文書を渡しアドバイスを求めていたと認めた。

 韓国では、ヒラリー・クリントン米大統領候補の私用メール事件と朴大統領の機密文書流出を比べる記事もあった。クリントン氏は、国務省の許可を得た「.gov」の付くメールアドレスではなく私用のメールアドレスを使ったために機密情報が漏れた可能性があるとしてFBIの捜査を受けている。朴大統領は大統領免責により司法捜査の対象にはならない。

秘書や側近にも飛び火

 朴大統領の選挙対策本部長だったキム・ムソン議員が10月27日、「朴大統領の隣にチェ氏がいた。それを知らない人がどこにいる。知らなかったというのは嘘だ」と記者らに発言したことで、大統領秘書らが事実を隠蔽していたことも問題となった。大統領秘書らはこれまでチェ氏が誰なのか知らないと主張していた。

 検察当局は10月29日、文書流出に関わったとされる側近らの事務室を捜索するため大統領府を家宅捜索した。しかし、検察が大統領府から空の段ボール箱を重たそうに持ち出す様子が報じられ、「検察は捜査するふりをしているだけ」との批判が巻き起こった。

野党は総攻撃体制

 共に民主党のウ・サンホ院内代表は10月30日、緊急記者懇談会を開き、「検察はチェ氏の身柄をすぐに拘束すべきである。検察はチェ氏が側近と口裏を合わせ、真実を隠蔽する時間を稼ぐのを手伝っている。この2~3日の動きをみると、露骨に真相を隠ぺいしようとする組織がある。不正にかかわった人達が台本通りに動いている」と述べた。