慶尚北道各地でNIMBY 現象

 慶尚北道は朴槿恵大統領の地元であり、セヌリ党支持率が圧倒的に高い。セヌリ党はTHAAD配備に賛成してきた。ところが、いざ星州への配備が決まると、セヌリ党の議員らは、「慶尚北道ではない他の地域にしてくれ」と主張し始めた。慶尚北道各地でNIMBY(Not In My Backyard)現象が起きている。

 世論調査会社のリアルメーターが全国の19歳以上547人を対象に調べたところ、「THAAD配備に賛成する」と答えた人は44.2%だった。賛成の理由は「北朝鮮を抑制し韓米同盟を強化するため」が最も多かった。「反対する」と答えた人は33.6%。その理由は「東アジアの緊張が高まるため」だった。「よくわからない」は17.2%。

 「THAAD配備に関して国会の同意が必要である」と答えた人が51.1%だったのに対して、「国会の同意はいらない」と答えた人は34%だった。

事前協議がなかったことに地元の怒り

 韓国国防部は、各種シミュレーションや現場訪問の末に星州へのTHAAD配備を決めたと説明した。ところが、星州郡のキム・ハンゴン郡首は次のように語り反発した。「国防部は事前に協議することもなく、一方的にマスコミに発表した。住民たちは怒っている。THAADレーダーが発する電磁波の有害性に関する住民への説明もなかった。手続き上問題があるのでTHAAD配備を再検討すべき」。

 THAADが配備される空軍基地から星州中心部までの1.5Kmの間に2万人以上、住民の半数が住んでいる。

 キム星州郡首は7月13日、抗議のため国防部を訪問した。7月15日には住民説明のためファン国務総理が星州を訪問したが、「説明ではなく通知をしに来た」と憤慨した住民らに取り囲まれ、バスの中で6時間立ち往生する事態に陥った。

 7月18日付の朝鮮日報は、朴槿恵大統領が星州の住民に会って直接説明すべきという社説を掲載した。「THAADをどこに配備するかは軍事的事案のため事前に公開するのは難しいので、コミュニケーション不足と言われても仕方なかった。問題はこれからだ。朴大統領が手を差し伸べるべきである(朴大統領が積極的に住民とコミュニケーションすべきである)」。

電磁波を測定では「害なし」だが…

 米軍は7月18日、韓国内のTHAAD反対世論をなだめるため、グアム島のアンダーソン空軍基地内にあるTHAAD基地を韓国国防部と韓国メディア共同取材班に公開した。

 韓国空軍で電波管理を担当する少佐(韓国では少領)が同行し、グアム基地のTHAADレーダーが稼働し始めて6分後から1.6km離れた場所で電磁波を測定した。最大値は0.0007W/平方メートル、韓国放送通信委員会が定めた人体保護基準値は10W/平方メートルなので、その0.007%程度だったことになる。レーダーのビームは5度の角度で上を向くため、100mも離れれば健康被害は発生しない数値であることがわかった。

 ロバート・ヘッドルンド駐韓米軍企画参謀部長は、「THAADレーダー基地は兵士、市民の健康と安全に害がない。グアム基地の安全基準を韓国にも適用する計画である」と説明した。

 それでも星州住民の不安は収まっていない。グアムで測定した電磁波はTHAADレーダーの出力と周波数を伏せてのものだったため、「最大出力だともっと強い電磁波が発生するのではないか」と住民らは疑問を唱えた。また、「グアム基地のレーダーは海を向いているし、周辺2Km圏内に民家もない。一方、星州は民家が集まっている。グアムが安全でも、星州も安全とは限らない」という疑問の声が上がっている。