身内を補佐官にすることに批判集まる

 韓国の国会では、投票できる年齢を巡る議論だけでなく、「国会議員の特権乱用を防ぐ」ことも大きな議論のテーマになっている。

 4月に総選挙が終わり、やっと国会が動き始めたと思ったら、議員の補佐官が一斉に辞表を出す騒ぎがあった。この数は7月1日時点で30人近くに上る。

 韓国では公設秘書、私設秘書の区別なく議員が補佐官4人と秘書3人、有給インターン2人までを自由に採用できる。補佐官と秘書は特別公務員の扱いで、給料も大手企業の管理職並みで悪くない。韓国では、補佐官が主人公の大ヒットドラマがあり、国会で補佐官がどういう役割をするのかはよく知られている。

 昔からの慣行で、議員の多くが自分の子供や親戚を補佐官に採用し、勤務実績がないのに給料を支払うケースがたびたび問題となってきた。

 韓国で6月末、共に民主党のソ・ヨンギョ議員を政治資金法違反で、「司法試験を準備する人の集い」が告発した。この集いは、「ソ議員が自分の娘を補佐官として2013年に採用。娘は補佐官の経歴を利用してロースクールに合格した」「ソ議員は娘と他の補佐官の給料を自分へ寄付するように指示した。これは政治資金法違反」だと主張した。

 政治資金法は、支持者1人が一人の国会議員に年間500万ウォン(約45万円)まで寄附できると定めている。しかしソ議員は自分の娘と他の補佐官からそれぞれ年間500万ウォン以上を受け取った可能性が高いと「集い」は主張している。

 この告発がきっかけとなり、韓国では自分の子供や親戚を補佐官に採用する、補佐官の給料の一部を議員への寄付金として納める慣行をなくすべきと批判する世論が広がった。

 インターネット掲示板やポータルサイトの記事コメント欄には以下の意見が相次ぎ炎上した。
「補佐官は採用試験を行い実力のある人を採用すべき」 「働いた分給料を払え」 「能力主義ではなく縁故主義で動く国会だから韓国がだめになるのだ」。

 とばっちりを恐れた、議員の親戚である補佐官らが国会事務処に辞表を出した。7月1日付のJTBCニュースによると、短期間のうちに30人もの補佐官が辞職したのは国会が始まって以来だという。

補佐官に試験制度の導入を求める声も

 7月1日にはチョン・セギュン国会議長が、「国民の目線に合わせて、国会議員の倫理規定を積極的に改定する。学界、市民社会の意見を聞いて改訂案を作る」と発表した。セヌリ党と共に民主党の党代表はこれを受けて急いで謝罪をした。両党とも、複数の議員が親戚を補佐官に採用しただけでなく、補佐官の給料を長年にわたり寄付金として受け取っていたことが発覚したからだ。

 もちろん、親戚が補佐官になることであうんの呼吸で議員が活躍できるというメリットもある。複数の韓国メディアによると、実力のある有能な補佐官がたまたま親戚だった、という事例もある。10年以上補佐官としてのキャリアがあり、実力を買って自分の補佐官として採用したのに、親戚という理由だけで非難された事例もあった。一概に親戚だから補佐官に採用してはならないと決めていいのかという声もある。

 韓国メディアは、議員の秘書(補佐官)制度に関する海外の事例に注目した。米国も日本も家族を秘書として採用した場合は、議員個人が給料を払わないといけない。

 日本の場合、公設秘書は資格試験に合格した者を採用する。韓国もそのようにすべきだと提案するメディアも複数ある。現行は、補佐官と秘書は公務員であるにもかかわらず、採用試験を課すこともなく、議員が恣意的に採用している。補佐官の給料を議員が勝手に自分への寄付金にしてしまうのも、採用過程に問題があるからかもしれない。ちなみに、解雇も議員の都合で容易にできる。