日韓関係が良好だったのは実は進歩派政権の時

 この他に韓国メディアが連日報道しているのは、韓国の総選挙結果を日本のメディアがどうみているのかと、日本側から見た今後の日韓関係についてだ。日本メディアがどう報じているか、記事を詳細に翻訳して伝えている。

 朝鮮日報や聯合ニュース、公営放送KBSニュースは、以下のように報じた。
「4月14日、日本の主な新聞は1面に与党セヌリ党惨敗の記事を載せ、選挙結果に大きな関心を見せた」 「日本がもっとも気にしているのは日本軍慰安婦合意」 「総選挙で野党が勝利したため韓国は反日になると、日本のメディアは分析している」

 韓国メディアは、日本のメディアがこう理解していると報道している――韓国の野党は、共に民主党も国民の党も「日本軍慰安婦問題を巡る朴槿恵大統領の政策には問題がある」との立場を取っている。

 4月16日付のアジア経済新聞の記事はその一例だ。「韓国外交部のチョウ・ジュンヒョク報道官は16日、『日本軍慰安婦問題合意に対する政府の基本的立場は変わらない』と発表したが、日本のメディアは悲観的だ。(日本のメディアは)野党の勝利によって朴槿恵大統領の力が衰え、日本軍慰安婦問題をめぐる合意の履行に影響を与えると予測している。朝日新聞は『朴槿恵大統領の求心力が弱くなると慰安婦問題合意を完全に履行することは難しい』という韓国政府高官の発言を報じた。日本のメディアの懸念は懸念で終わりそうにない。2015年12月28日に妥結した日本軍慰安婦問題合意は一向に進まないままだ。与小野大になる次の国会では再交渉の話が出る可能性もある」。

 日本メディアによる一連の報道を見て矛盾を感じるのは、「朴槿恵大統領は反日で、そのため日韓関係が悪くなった」と書き続けてきた日本のメディアが、野党が勝利したことで韓国が反日になると分析した点である。朴大統領は結局、反日ではなかったという意味なのだろうか。

 日韓関係を振り返ると、サッカー・ワールドカップ共同開催や韓流ブームなどで日韓関係がよくなったのは、金大中氏と廬武鉉氏が大統領だった時代である。いずれも進歩派だった。

良好な日韓関係を望む人が進歩派を支持している可能性

 今回の総選挙では、不在者投票の動向が話題になった。韓国では2009年に選挙法が改定され、海外に住む留学生、駐在員、国外永住者なども2012年から投票できるようになった。

 選挙管理委員会によると、約6万3000人が不在者投票を実施。59%が共に民主党、23.8%がセヌリ党、9.1%が国民の党、2.4%が正義党、5.7%が無所属の候補を選んだ。政党投票(日本の比例代表に相当する)でもセヌリ党は26.8%しか得票できなかった。海外に住む韓国人の方が、韓国内に住む人々より野党(進歩派)を支持しているという結果になった。

 2012年12月に行われた大統領選挙でも、不在者投票のうち56.7%が進歩派のムン・ジェイン候補(当時の民主統合党、現在の共に民主党)を支持した。複数の韓国メディアは、朴槿恵大統領の外交政策に不満を持つ人が、進歩派への支持を強めたのではないかと分析した。不在者投票に参加する人は選挙ごとに増えているため、2017年12月の大統領選挙でも大きな影響を与えるとみられる。

 一概には言えないかもしれないが、この数字から推測すると、日本に住んでいる韓国人も共に民主党や国民の党、正義党を支持したと考えられる。日本に住む韓国人は誰も日韓関係が悪化するのを望まないはずだ。進歩派勢力が拡張することで日韓関係が悪くなるという日本メディアの予測は外れる可能性が高いし、はずれてほしい。

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