公約は替え歌にしてアピール
韓国の選挙は日本の選挙とはずいぶん異なる。そのいくつかを紹介しよう。まずは選挙運動の様子だ。
韓国における選挙はお祭りでもある。選挙運動は、候補者が宣伝カーに乗って演説することもあるが、歌って踊るパフォーマンスの方が多い。例えば地下鉄駅の出口。お揃いのTシャツに帽子、白い手袋をしたおばさん集団が候補者の公約を歌詞にした替え歌でアピールする。
今年は自分の選挙運動をネットで生中継する候補が多かった。ネットに書き込まれた質問にリアルタイムで答えたりする。地元候補の選挙運動が家にいながら見られるので人気を集めた。
投票所の周りでピースは禁止
投票所の様子も日本と異なる。総選挙の有権者は満19歳以上。今回は、1997年4月14日以前に生まれた人である。投票用紙は2枚。1枚は地域選挙用、もう1枚は政党選挙用だ。
地域選挙用の投票用紙には候補の名前がずらりと書いてある。有権者は記票室に入って投票専用のスタンプを候補の名前の横に押す。政党の現在の議席数に応じて、候補者の名前が並ぶ。したがって今回はセヌリ党候補が1番、共に民主党候補が2番、国民の党候補が3番、正義党が4番、無所属が5番の順だった。
投票所の周辺では、手でピースサインをすることが禁じられた。2番の共に民主党に投票せよと選挙運動しているように見えるからと選挙管理委員会は説明した。
投票日の当日、朴槿大統は赤い服を着て大統領官邸の近くにある投票所に姿を見せた。赤は与党セヌリ党のシンボルカラーだ。進歩派のメディアは「与党に投票してくれと大統領が選挙運動しているようなもの。これは政治介入だ」と批判する記事を書いた。
韓国の選挙はビジネスにも結びついている。例えば運動靴専門店や大手ドラッグストア、デパートなどが投票認証割引イベントを行った。投票したことを証明する自撮り写真を見せると商品を割引してくれる。投票所の入り口で写真を撮ったり、手の平に投票用のスタンプを押して写真を撮ったりして、「投票を済ませた」ことを証明する。誰に投票したのかがわかる写真を撮って他の人に見せるのは選挙法違反になる。
株式市場は与党惨敗を好感
選挙後の韓国経済には希望が持たれている。
セヌリ党のキム・ムソン代表は4月6日、「セヌリ党が過半数の議席を取れないと韓国はめちゃくちゃになる。経済は滅びる。株価は下落して金融市場は混乱に陥る。皆さんの子供は就職できなくなる」と演説した。
しかし投票翌日の4月14日、韓国の株価は前日より34.61ポイント急騰し2015.93となった。2015年12月1日の2023.93以来、最も高い数字を記録した。複数の韓国メディアによると、14日は特に外国人投資家の買いが進み、株価の急騰をけん引した。
キム・ムソン代表は選挙結果が公開された直後、セヌリ党代表を辞任した。
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