政治に関心を持ち自分の声を出す青少年が増えた

 選挙を控えて野党――共に民主党、国民の党、正義党――は「18歳選挙権」を主張するようになった。野党3党の議員らは、以前から「選挙権を得られる年齢は18歳以上が世界的に見て一般的。韓国は『グローバルスタンダート』に追い付いていない」「OECD加盟国の中で韓国だけが選挙権年齢を19歳以上と決めている」と主張してきた。

 「日本も2016年夏の参院選から、選挙権年齢を20歳以上から18歳以上に引き下げた。日本は選挙権年齢を引き下げて以降、返済が必要ない奨学金制度の創設を選挙公約にするなど、青少年有権者のための公約が増える効果があった」とも主張している。このため、2月の臨時国会で公職選挙法改定案を可決すべきとしている。

 朴大統領が当選した2012年12月の大統領選でも、若者の支持獲得を狙う野党は「若者の声を政治に反映できるよう、他の国と同じく18歳以上に選挙権を与えるべき」と主張し、一方、シニア層に支持を求める与党は「18歳は高校3年生で勉強に集中すべき年齢。選挙権は現状の19歳以上で問題ない」と反論していた。

 チョン・セギュン国会議長も1月20日、18歳選挙権に賛成した。「青少年に選挙権を付与し政治に参加する機会を拡大することは、韓国の明るい未来と政治の発展に寄与するだろう。民主主義とは、より多くの人が参与できる機会を保障する制度でもある」。

 日本でかつてされた議論とそっくりな議論が韓国でも繰り返されているわけだ。違いは、日本では「18歳選挙権をきっかけに、若い世代が政治への関心を高める」という期待が先行したのに対して、韓国では政治に関心を持ち自分の声を出す青少年が増えたことがきっかけになった。

 韓国は2005年に民法を改訂した歳、成人となる年齢を満20歳から満19歳に引き下げ、選挙権も19歳以上にした。その後、政治問題に関して市民が抗議するろうそく集会などで高校生の参加が目立つようになり、選挙権を18歳以上に引き下げるべきではないかという話が浮上した経緯がある。

 18歳選挙権に反対していた与党セヌリ党が分裂したことで、いよいよ18歳選挙権が認められるかもしれない。セヌリ党を集団離党して保守系新党「正しい政党」を創設した議員らは18歳選挙権に賛成すると表明したからだ。

 「正しい政党」に入党したナム・キョンピル京畿道知事は、野党側の18歳選挙権に賛同し、次のように述べた。「弾劾を求めるろうそく集会で、青少年が持つ力のすごさを感じた。政治参加、世論主導は大人の専有物と考えていたが、青少年らはモバイルの世界で成人よりたくさん討論していた。選挙権を得られる年齢を18歳に引き下げ、彼らの政治意識と討論を国政に反映できる道を作るべき。2月の臨時国会で選挙法を改訂すべきである」。

 ただし、セヌリ党のイ・ヒョンジェ政策委員長は反対の立場であることをにじませている。「18歳選挙権について党内での議論はまだ行われていない。ただ、高校生に投票する権利を与えるのは時期尚早ではないか。高校生はまだ社会のことを知らないという意見もある」。

高齢化進むほど選挙年齢の引き下げが必要

 韓国の男性は18歳から兵役の義務があり、男女共に18歳から結婚できる。自動車運転免許も18歳から取得できる。商業高校や工業高校の学生だと、18歳で就職する人も多い。

 韓国の中央選挙管理委員会と国家人権委員会は、18歳選挙権に賛成する立場を2016年から既に表明している。「高齢化社会になるほど選挙権の年齢を引き下げるべき」との理由からだ。中央選管委は、「未来を担う世代の意見を議政に反映できるようにすることで世代間の葛藤も解消できる。18歳以上に選挙権年齢を引き下げるべき」との意見を表明したことがある。若い有権者を増やすことで青少年のための公約が増えれば、2012年12月大統領選挙の際に勃発した世代葛藤を少しは鎮められるのではないかと見る。

 統計庁のデータによると、韓国の16歳人口は61万人前後(2015年時点)。2017年に18歳になる人口も同程度と推定できる。2012年に大統領選挙が行なわれた当時の有権者数が4046万人だったので、61万人が選挙に与える影響は小さくない。一方、韓国の65歳以上人口は約656万人(2015年時点)で、全人口の13.2%を占めている。

 2012年の大統領選挙では、「選挙権を持たない青少年のための政策より、人数が多く投票率も高い高齢有権者のための公約ばかり」という不満が生じた。これが2016年4月の全国総選挙で投票率となって顕在化した。中央選管委によると、2016年総選挙の投票率は19歳が53.6%、20代が52.7%。2012年の総選挙より19歳は6.4%ポイント、20代は11.2%ポイントも増加した。

 この結果、「最低賃金を上げる」「法人税を値上げして福祉の財源にする」などを公約とした野党が圧勝。与党セヌリ党は過半数割れに追い込まれた。

 大学進学情報を提供する進学社が1月24日、高校3年生507人を対象に18歳選挙権についてアンケート調査したところ、65%が「賛成」、23%が「反対」、12%は「わからない」と答えた。反対理由は「自分の考えより他人の影響で投票しそう」「学業に集中したいから」が多かった。進学社は、「18歳選挙権に賛成した学生は、選挙は権利だと考える傾向が強い。それに対して反対した学生は、投票は責任が重く自分には負担になると考えたようだ」と分析した。

 ちなみに、世論調査会社リアルメーターが全国19歳以上の成人504人を対象に1月4日行ったアンケート調査では、18歳選挙権に「賛成」が46.0%、「反対」が48.1%だった。