人権が先か、南北関係改善が先か

 ただし、同法の目的に関する条文をどうするかの議論はまだ残っている。

 1月25日付の朝鮮日報によると、与党のセヌリ党は北朝鮮における人権問題を改善することに焦点をあてており、「(韓国)政府は北韓の人権を増進するため努力すると共に、南北関係の発展と韓半島(朝鮮半島)に平和を定着させるためにも努力しないといけない」という条文にすべきと主張する。一方、野党のドブロ民主党(新政治民主連合が党名を変更)は南北の関係改善に焦点をあてており、「北韓の人権を増進させる努力は、南北の関係改善と韓半島における平和定着努力と同時に推進すべきである」と主張している。人権増進がメインでその次に南北の関係改善が来るのか、人権増進と南北の関係改善は並行するのか、微妙な違いである。

 統一部は「北朝鮮の人権問題と南北の関係発展を関連づけるのは不適切である。人権増進と南北の関係発展は並行して進まなくてもかまわない」として与党・セヌリ党の肩を持った。

核を巡って強硬に出た朴政権

 ソウル大学統一平和研究院のソ・ボヒョク教授は、ハンギョレ新聞とのインタビューやコラムで、「(北韓人権法に関して)北韓(北朝鮮)の人権問題改善は、南北関係の発展、平和の定着と当然一緒に議論されるべきだが、与野党はこれに合意できていない。人権だけでなく、平和、和解、人道主義も国際社会おいて重要である。与党が人権と平和の相互依存性を認めない場合、この法律は『人権根本主義を口実に北韓を圧迫するための法律』という疑惑が生じるのを避けることはできない。人権は北韓という空間ではなく、人を中心に考えるべきで、北韓の人権は北から脱出した人を含め、韓半島すべての居住民の平和についてアプローチすべき法である」と与党のセヌリ党や統一部とは違う見解を述べた。

 複数の韓国メディアは、北韓人権法の目的を定める条文がセヌリ党の案になるにしても、野党・ドブロ民主党の案になるにしても、北朝鮮は「韓国が(北朝鮮を)吸収統一しようとしている」として反発するだろうと予測した。

 韓国政府は北朝鮮に対し厳しい態度を取り続けている。朴槿恵大統領は1月22日、外交安保関連の業務報告の場で、「8年間開催できなかった6カ国協議だけでなく、(北朝鮮を除外した)5者会談を試みるなど多様な方法を探すべき」と発言した。この発言は6カ国協議無用論として広まった。

 中国の洪磊報道官は22日、「6カ国協議を早期に再開すべき」として、朴大統領の発言に反対する姿勢を明確にした。青瓦台(大統領官邸)はこの後すぐ「6カ国協議をやめるわけではない」と書面で釈明した。

 1月25日付文化日報は、「中国ばかり見つめていた朴政権の北核政策が岐路に立たされた」と報道した。1月24日付のキョンヒャン新聞も「(5者会談を提案した朴大統領発言は)韓中関係に相当な悪影響を与えた。韓国の北核外交に大きな負担は避けられない(課題が生じることは避けられない)」「(22日の発言で)朴大統領の本音がばれた。朴大統領は北韓との対話に拒否反応を示していて、6カ国協議にも不信を抱いている」と報じた。

 このような雰囲気の中、北韓人権法制定は韓国と北朝鮮の間に良い変化をもたらすのだろうか。