ここまでは“ストーカー”という範疇だ。

 スタッフたちとの食事会の時、この男性は私をスタッフたちの前で罵倒し続けた。

 いかにタレントとしてダメで劣っているか、を、2時間以上、喋り続けた。スタッフたちは黙って聞いていた。私はたまに反論したが、上からかぶせてくる全否定の言葉を聞くと、その食事会の意味がやっと理解できた。

 遙を罵倒できる俺、ここまで言える俺、を、部下であるスタッフたちに見せつけることが、その男性の目的だったのだ。

 後に、スタッフたちから「遙にダメ出しをするから」と集合がかかっていたことを聞いた。私には「スタッフたちと交流を持たないか」が誘い文句だった。蓋を開ければ、「こんなこと言える俺」をアピールしたかっただけのことだった。これはカテゴリーで言うと、“パワハラ”だ。

 大勢の社員の前で、たった一人を罵倒し続ける行為、というのは、パワハラの代表例にある。
 ストーカー行為といっても、パワハラ行為も連動してくるし、セクハラ行為も、全部繋がっている。どれか一個を取り上げて、「〇〇はダメ」と講習して解決するほど単純ではない。

居場所探しがパワハラに

 嘱託になり、何の権限もなくなり、番組制作も関わることがなくなった時に、その男性のストーカー行為はさらに激しくなった。承認欲求や自己肯定感というか、そういう精神の根幹の部分での穴埋めを、現場にすがることでその男性は果たそうとしていた。

 その道具として私のようなタレントは使い勝手がいい。もう制作部ではなくなっても、社員でもなくなっても、「俺、元上司」を振りかざしながら、「タレントに会いに来たんだ」という名目で現場に居座り続けた。その男性が舐めたことを平気でできる“女性タレント”が私だったということだ。

 「もう部長ではない俺の居場所探し」の男性が「絶対手放さない」執念で私を掴み続けた。私は実情をスタッフに打ち明け、ストーカー行為が4年に及ぶこと、パワハラ行為も混じり、助けてほしい、と告発した。

 男性スタッフたちの回答は、「できません」だった。
 理由は「元上司だから」。
 私は絶望を覚え、番組を降りることにした。

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