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本音はこのあたりではなかろうか

 彼らが自覚しようがしまいが、彼らが酔わないでは発言できなかった本音、というのは、自分たちを審査する相手が感情的であることではない。
 また、更年期障害という症状を持つ人間に対してではない。

 そういう表現を使ってでも批判したくなった相手とは、つまりはその理由は、オンナ、にある。
 女性に好き嫌いで選ばれること。もっと言えば、審査員という権力者側に女性がいることではないのか。

 本気で審査しようと挑んだ上沼氏がその本気の拠り所としたのは、自らの好き嫌いだった。

 それのどこが悪いか。
 好感度、という言葉自体が、好き嫌いのモノサシだ。上沼氏に非があるとすれば、その好き嫌いを隠さなかった。つまり本音でしゃべったことにある。

 人間性が最低でも能力があると判定される人と、人間性は素晴らしいが仕事がイマイチの人間と、どっちを選ぶかは企業の好みだ。どっちを選ぶかですでに企業の将来戦略とも言える。

 仮に、上沼恵美子氏が、彼らの言うように審査員として相応しくないような人間性だったと仮定しよう。だが関西では毎週確実にテレビから笑いを視聴者に安定して提供している現役のプロだ。笑いの安定供給などなかなかできるものではない。仮に人間性が最悪だったとしても、能力はトップクラス。そういう、若手芸人にはマネしようにもできない力があっても、彼らはそこを評価しなかった。そこへの敬意があれば、安易な反発は出なかっただろう。

 もし、これが企業で起きたなら、今回のように若手から悪口を言われたくらいで「では引退します」にはならないだろう。そういう声を聞き流し辛抱しながら働くしかない。しょせん悪口だから。