全4118文字

レギュラー番組が1本だったころは……

 タレントも、「1本だけでいいからレギュラー番組が欲しい」というのはある。
 その1本に救われ、未来を期待し、仲間もできる。

 では、それが10本になったら?
 そのタレントは何に心を託すのだろうか。タレントの生き方が問われる。

 帝王として他のタレントから崇め奉られることを願う権力者になりたいのか、レギュラーを持てない後輩たちにチャンスを与え、テレビ局の下請けの低賃金のスタッフたちに自分の糧をおすそ分けするのか。あるいは、全身をブランドで固め自分のためのみに消費するのか。

 たった1本の時には見えなかったその人間の顔というのが、レギュラー10本になると見えてくる。そして、その多くが、「自分だけのために」か「帝王として」のタイプの多さに、お互い売れなかった時代を知る私としては、とても残念な思いで芸能界を見ている。

 トランプの保護主義に驚くことなどなにもない。
 芸能界でも、ゴーン氏でも、小さな建設業の経理事務の女性でも、みんな、保護主義だ。勝つ人間は、もっと勝ちたいと願う。カネがある人間は、もっとカネをと願う。

 で、勝って、その次は? 儲けて、その次は?
 皆、勝つことに必死で、カネを稼ぐことに必死で、悪事に手を染めてまでカネが必要だと思いながら、カネの使い方のおおざっぱなことといったら。

 共通するのは、勝者にビジョンがないことだ。ゴーン氏も、悪事は全部疑惑としても、ベルサイユ宮殿で挙式、という、その1個のエピソードで、勝者のくせにビジョンがしょぼい、と私は感じる。「彼に日産は救えても、しょせんそこまでの人物だ」などと、私ごときに見切られてしまう。

 カネは恐ろしい。

 持てば持つほどその人間のビジョンのなさ、器量の小ささを露わにしてしまう。犯罪を犯してまで持とうとするのはとても割に合わない。持てあましている方がもしいらしたら、遠慮無く私の口座に振り込んでくださってかまわない。

遙洋子さん新刊のご案内
私はこうしてストーカーに殺されずにすんだ

私はこうしてストーカーに殺されずにすんだ

ストーカー殺人事件が後を絶たない。
法律ができたのに、なぜ助けられなかったのか?
自身の赤裸々な体験をもとに、どうすれば殺されずにすむかを徹底的に伝授する。