友人といえども他人が香典に関わることで一番困る事態である。

 「合わないじゃん……」
 「……もう一度、計算しなおそう!」
 「どれで? 3か所に金額書いてあるよ。香典袋の内袋と外袋と、芳名カードと、一覧表と。いったいどの金額の合計を電卓で打つのよ!?」
 「香典袋はもう処分しましょう。住所も名前も金額も書き写したから」

 思わず叫んだ。

 「だめ!! 書き写し、書き写し、を続けているうちに、どこかでミスを犯して計算が合わなくなったのよ。香典袋が最も正確な情報の証拠。香典に書いてある金額のほうの合計を出すべき」

 それもそうだ、ということになって、香典袋を一枚ずつ「〇〇円」と読み上げる係と、それを電卓で打ち込む係に分かれた。
 そして数百枚の香典袋の金額を合計してみると……やはり現金と合わない。

修羅場@深夜のカラオケボックス

 斎場は「もう閉めます」という時間になり、我々は計算が合わない香典袋の山と、とんでもない金額の札束を持って、カラオケボックスに深夜に入り、計算を続けることになった。

 万単位の計算が合わず、皆が疲弊していった。夕食も取らないままカネの計算をし続け夜中の2時になった。
 一覧表の数字をにらめっこしながら検算が終わるのを、ほぼ、絶望的に待った。
 結果、ウン十万単位の誤差が出た。
 「誤差、増えてるやん……」

 日ごろ、電卓を使わない私が見かねて「私が叩く!」と電卓を奪い、「何度も言うけど、香典袋が最も正しい金額よ!」と、香典袋を読み上げてもらい、無心でテンキーを打った。