軽い気持ちで「手伝おうか」と……

 遺族たちは通夜の真っ最中だから、どうやら親しい友⼈たちが⼿分けして、香典を整理していることが光景から理解できた。

 その整理の仕方を指示していたのは、最も先輩格の知人女性。お通夜の総指揮をしていた。香典の値段と名前と住所とを、通し番号で書き込めるよう、一覧表を準備して持って来ていたのも彼女だった。

 血眼になって記入とお金の計算をしている様子を見て、「私も何か手伝おうか」と聞いた。これが今思うと大失敗だった。

 「じゃあ、遙さんは開けた香典袋を元に仕舞って、紙袋に分類分けして入れてください」
 「はーい」

 そこで気づいた。
 「あれ? 香典の内封筒がないよ」
 「ああ、その人は、外封筒だけなんです」
 「あれ? この人は、内封筒だけしかないよ」
 「そーなんです。外封筒が見当たらないんです」
 だんだん悪い予感がしてきた。

 数百名の香典を、一覧表にすべく、芳名カードと照らし合わせながら、「誰それ何円」てなことを書き込んでいるのだが、私のところに回ってくる香典袋には、内封筒に値段が書いてあるものやら、外封筒に今走り書きしたものやらが混じりあっている。

 そして、恐ろしい結果となった。
 現金と、香典にある金額の合計がぜんぜん合わない……。