そこに招かれるとは、光栄なことでもあり胃の痛む思いもする。そこが戦場であるのを見ていて予測がつくからだ。

 巨大すぎる局内に入り、その割にとても効率よくできた動線に感心しつつ楽屋に入る。出演者全員の各部屋に挨拶にまわる良識派の方もいらっしゃるが、私はしない。イベントではない。数字を取るための陣営に呼ばれたことを理解していれば、挨拶は本番直前のスタジオ内でのひと言でいいと思っていた。

 メイク室に入る。大勢の出演者が並び、日々あった出来事を楽しげに喋っているが、私は誰とも喋らない。芸能界に長年いるが、いればいるほど私はこの芸能界というところが好きにはなれないでいる。「テレビに出たい」ということにどれほどの意味や価値があるのだろう。それが芸能界であれ、商社であれ、銀行であれ、そこにあるのは常に他社との戦いで、それに勝たねば死ぬ。そういう競争原理のもと仕事があるので、そこに職業の違いがあるとは思わない。

出るか、取るか

 ただ芸能界の場合は複雑な付加価値がつき、その原理を見えにくくさせていると思う。タレントとして売れたら成功。テレビに出演できていれば成功。といった、知名度=成功、という図式が、そこにある本質を見えにくくさせてしまう。

 もしそこに成功があるのだとしたら、数字を取れて、成功、なのだ。それ以外の成功はないのではないか。個人的成功などあまり意味はなく、ある戦国武将のもと、そこでいかに戦い、いかに他局相手にいい戦ができるか、が、最終的な勝ち、なのだと少なくとも私は芸能界を俯瞰している。

 それを最も実感できる当事者とはメインパーソナリティ。つまり戦国武将のみだ。他は出入り業者のようにいろんな番組に呼ばれて生計を立てているし、そうやって生きていく世界でもある。個人戦として芸能界を生き抜くか、戦国武将と共に勝利を目指すかは、もしかしたら個々の生き方の違いなのかもしれない。どちらでも生きることはできるだろうから。

 でも、私があくまで番組で見た坂上忍氏の腹の括りは、「この人、本気だ」と、見ていて通じるものがあった。そこに胸が打たれた。