ミカンおじさん

 今回の滞在で、素直にいいなあ、と思ったのは「ミカンおじさん」だ。

 ホテルのロビーに農家の男性がやってきて、ミカンを売っている。ホテルの食事に絶望していた私は、文字通り飛びついた。

 ああ、美味しい!いわゆる普通のミカンだが、地元の人が、その日に食べるとちょうどよい実をもいで持ってくるのだから、美味しいのは当たり前といえば当たり前だ。おまけもくれる。1個じゃなく何個も。せっかく来てくれたんだから、もっと食べてって、という笑顔がまた心地よい。

 地元の食材でロビー朝市なんてどうだろう。ホテルの料理に使う分の納品もかねて持ってきてもらう。美味しい料理として提供して、その素材をお土産にいかがですかとお薦めする。お客が持ち帰ってもいいし、宅配便で送ってもらってもいい。気に入ったら、定期的に農家から送ってもらえる仕組みを作ってもいい。

 豪華な置物やふかふかのカーペットより、小回りの利く送迎車や滑らない床を。地元の食材や人々との触れ合いや賑わいを。

 少なくとも、立派なシャンデリアを飾っただけで、ほいほいお客が集まることはないだろうから。

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