ご相談

アベノミクスの恩恵が到らないのか、ちっとも業績が上がりません。厳しい芸能界にいる遙さんの生存戦略を教えて下さい、参考にしたいです。     

30代男性

遙から

 たった一世代下の青年たちと喋るだけで、宇宙人と会話しているような錯覚を経験した。

 ドラマの撮影時のことだ。
 私はタレントだが、ごくたまにドラマの依頼もいただく。

 収録が終わったら、タレントは蜘蛛の子を散らすように瞬時に局から姿を消す。一方、ドラマはその拘束時間や待ち時間の長さから、タレントのような淡泊な人間関係ではなく、互いの個人情報を知り合う密度の高い関係性が生まれる。昔はそれが息苦しく、タレントのほうが気楽だと思っていたが、久しぶりにドラマに出演すると、その濃厚さが懐かしい。

ネタがなくても講演する方法

 待ち時間に40代のまだ認知度の低い芸人さんと喋った。私が最初に違和感を持ったのが彼の筋肉のマッチョ具合だった。いささか度が過ぎる。最近、売れた芸人さんがマッチョ体型をキャラに組み込むのは見慣れているが、まだ売れていない芸人さんがなぜ? と思い、聞いてみた。

 「なんでそんなに筋肉をつけるの?」

 筋トレに通う暇があれば、仕事の努力をすればいいのにと思った。
 芸人さんは答えた。

 「趣味なんです。でも、この身体をネットに上げているとスポーツ関係の講演の依頼もあります」

 もう一人の芸人さんが驚いて質問した。

 「お前、講演なんかできるんか!」
 「依頼は1時間半やけど、30分とか1時間に減らしてもらって喋ってる」

 次の言葉に私も驚愕した。
 「講演は笑いをとらなくていいから楽やで」
 ……!
 「楽? あなたたち、“お笑い芸人”さんだよね。呼ばれた仕事で笑いを取らないでいいの?」

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