私が好きなのは、楽しんでくれる気満々の女性たちが集った客席だ。それが主婦層であれ、働く女性たちであれ、これでスベッたことはなかった。

 ある企業から「うちの女性社員向けに」というオファーをいただいた。

 20代から40代。女性のみ。もう成功が目に見えているではないか。隣の席の男性に気兼ねするといったこともなく、女性の本音のみで、イチを言えば、100届くくらい響く・・・はずだった。

嗚呼、不発

 当日。私を呼んでくれた幹事の女性たちに出迎えられた。もう彼女たちの表情は興奮を隠しきれないものになっていた。

 「今日は、女性のみということで、男性上司たちは遠慮して退席しております」という言葉にも励まされ、私は指を鳴らしながら“女性限定”の講演を始めた。

 しかし壇上に立つと、空気が妙だ。

 会場を見渡した。100人ばかりの客席は全員女性だが、うきうきして前のめりで私を見つめてくれているのはほんの数人だった。あとは・・・無表情。

 ・・・あれ?

 おそるおそる話を始めてみた。が、不吉な予感は的中して、客席はシーンとしたままだ。

 別に笑いがなくてもいい。前のめりの空気感というのが、ゼロだった。最も生き生きしているはずの20代から40代の女性たちが、いったいどうしたのか。

 女性の現実をまず知りましょう、と、私は女性学のデータから日本の現状、女性の現状を披露した。私が女性学を学んだ時に衝撃を受けた数値だ。まず、びっくりしてもらいましょう、という目論みは見事に外れ、女性たちは無表情のままだった。

 ・・・学術的なものは受け付けないか・・・。

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