放送後、私はクラッシックバレエの観劇へと急いだ。

 このコラムでも紹介した、パリオペラ座で長年エトワールだった巨匠、マニュエル・ルグリ氏率いるバレエの公演があったからだ。

 目の前に登場する、パリオペラ座で"完璧"と言われた男性の踊る姿。その美しさ。

 それを見ているはずなのに、私の脳裏には、石破氏の睨みつける表情しかない。

 次に登場したのは、ボリショイバレエのプリンシパルの女性。その美しさたるや、何度息を飲み込んだか。曲技かというくらいの技術力。人間かと疑うくらいの美しさ。

 だが私の脳裏には、ずっと石破氏の睨み顔が焼き付いている。

 石破氏は、クラッシックバレエの至宝に勝った。

これから

 濃い一日を振り返ってみる。

 日本のトップを取るかもしれない男性に会った。

 クラッシックバレエ界のトップを取ってきたと言っていい男性にも会った。

 どちらもカリスマ性があり、どちらも楽屋で私を見つめてくれ、喋ってくれた。

 だが、“これからトップを取る”と決意したであろう男性の持つ力は、ハンパなく魅力的だった。

 タレントなんかにはない、芸術家にもない、また違う種類のオーラを初めて見た。

 どの時代に生きようが、国のトップを狙う人間は、信長の片鱗や秀吉の一面がある。

 過去に戻らなくていい。