テレビを見ていた人は、石破氏が専門分野と自認する安全保障というテーマで、より真剣さが増し、話にも力が入った、といった感じで受け取ったかもしれない。

 しかし私には、もっと強烈な、彼の中にある強い覚悟がほとばしったように感じた。

 この人は、一国を率いる覚悟を固めている。

 私はそう確信した。

 彼がその時、具体的にそう言葉にしたわけではない。立証しろと言われても困るし、勝手なことを言うなと言われても困る。もとより政治家たる者、国を背負う覚悟を持っていて当然だという意見もあるだろうが、そうした一般論ではなく、ただただまっすぐにその強い覚悟が伝わってきたように感じたのだ。

天下取り

 戦国時代を舞台にした小説を読むと、夢が広がる。過去のどの時代に戻りたいかと問われたら、私は迷わず織田信長に会いたいし、秀吉も見たい。国のトップを狙う人間の眼差しや風貌を見てみたいのだ。

 だがその考えは石破氏に会って変わった。

 「もう、会ったじゃないか」と。

 私の目の前にいた男性が国のトップを狙うのなら、その眼差しやオーラが、信長や秀吉にもあったに違いない。そう思った。

 そして、それは60歳からでも可能な夢なのだ、と思った。何かと若さが尊ばれる今のこの国にあって、60歳から国取りゲームに参戦する人物の姿そのものが、強いメッセージを残してくれた。

 「お前たち、まだまだ頑張れる」と。

 フツーの男性から、一転、かかってこいとばかりに睨みつける男性の眼へと豹変した目力を見て、私は、この経験が生涯、自分に刻み込まれることを感じた。