ご相談

ある政治家が「子どもを産まないほうが幸せ」という考え方は自分勝手だと発言してましたが、どう聞きましたか?

(40代女性)

遙から

 6月26日、自民党の二階俊博幹事長が講演で、「子どもを産まない方が幸せじゃないかと勝手なことを考えて」「皆が幸せになるためには子どもをたくさん産んで、国も栄えていく」と発言したことをご記憶だろうか。まったく、ひと月も経っていない間に、記憶はあっという間に色褪せる。遅まきながら、今回はこれについて考察してみたい。

 すでにこの発言には、議員たちがきちんと批判を行った。「産めよ増やせよじゃあるまいし」とか、「特定の家族観、価値観を押しつけるのは間違っている」とか「二階先生では若いママの代弁はできない」とか。

 でも私が今さら(ひと月経っていないが)この発言を蒸し返すのは、どの反論でも「勝手」と言われた側の憤り、やるせなさ、脱力感をぬぐいきれる言葉とは出会えなかったからだ。

 ちょっと笑ったのが、直後のニュースで二階氏と安倍総理夫婦が並んで映っていたシーンだ。二階氏は安倍昭恵さんをも「勝手なことを考えて」いると批判している側に立つことになってしまった構図に、その居心地はいかばかりかと失笑した。

 そして、この「勝手」発想には、二階氏に限らず一定数同調する人たちがいることを、トーク番組で知ることになった。失言だと騒いだところで全国民が怒っているわけでもないのだ。「そうそう。その通り」と思っている大人たちが少なからずいたし、それほど怒っていない人もいる。

 番組ではそこが対立構図になった。すると「勝手」発想側の本音が露わになった。

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