バカなことを言うな、荒唐無稽な話をするでない、と、厳しい意見をいただいた。

 私は首を傾げた。私は私の失敗談を話したのに、その女性は「そんなうまくいくか」と反発した。つまりは“他人に助けてもらった”ということにその女性は最も反発したようだ。「そんな不動産屋がどこにいる」と。

 だが、いたのだから仕方がない。
 その業者さんは、自社が絡まない不動産を購入する時も交渉の場に同席してくれ、あるいは、次の物件を品定めしてくれ、次なる不動産業の物件の利益率を教えてくれ、いくらくらいなら価格交渉ができるかの知恵をくれ、「失敗した」と言えば、駆けつけてくれ、私の嘆きと質問につきあってくれた。

 「これは、ただのマンションです。買った瞬間から、価値は下がります」
 「これは、資産になります。遙さんが老後数十万円の家賃を手にすることができる。これはマンションだけど、マンションじゃない。資産です」
 と教えてくれる。

不動産は「勝負事」である

 不動産の失敗は、原因を購入後に知ることが多い。プロならではの、「あのマンションは音が筒抜けだから購入は止めましょう」という情報をもらっていても、それでも、失敗するのだ。

 それが、“物件を買う”という、一か八かの勝負なのだと思う。物件は住んでみなければ失敗に気づかないことが多い。実に巧妙に作られている。近隣トラブルも住んでみなければ分からない。数千万という財産が動くにあたり、この、“住んでみなければ分からない”とんでもない賭け事が、物件購入の現実だ。

 私は八都を転がり落ちる行程で、私の家族に助けてもらったことはなかった。いつも、助けてくれたのは他人だった。その私に、会場の女性の「そんなバカな話があるか。不動産屋は不動産屋。そのうえに、子が来れば家はさら地にされる」と怒りをぶつける。