今、この国のアイドルたちは制服を着ながら純粋無垢、天真爛漫な笑顔を振りまく。両手で感謝をこめて握手し笑顔をプレゼントする。
圧倒的に善良な狂気を共有できるファンを得た時が、この仕事の至福の瞬間。そうアイドルたちが考えることは理解できる。が同時に、コンシェルジュさえ信用してはならない職業だということも忘れてはならない。
そして、これはあくまで芸能界の話、とはいかない。一般社会においても、相手の"笑顔"をきっかけに、勝手に暴走する輩はいる。
作り笑顔ではなく
悪質なストーカーにつきまとわれる事態になったら、どうするか。とにかく全力で逃げる。徹底的に身を隠すことを勧める。そんな答えは単純すぎると思う人もいるだろうが、理屈の通らない危険な相手が身近に迫る状況で、大手プロダクションに守られてもいない、警察に守ってもらえる保証もない当人にできることは、少ない。だからまず逃げろ。事は命に関わる。警察や周囲のサポートを頼みつつ、とにかく我が身を第一に守ってほしい。
といって、相手がストーカー化するのを恐れるあまり、新たな出会いや周囲の人たちとのコミュニケーションに怯んでしまうようではいけない。ともに喜び、怒り、哀しみ、楽しむ。それら、あなたの人生を豊かにするものを手放してはいけない。
1つだけ、使い方を考えた方がよいものは、作り笑顔だ。それは、危険な相手には誤解され、ちゃんとした相手には見透かされる。仕事上、使わざるを得ない場面はあるだろうが、四六時中、顔に貼り付けておく必要はない。

『私はこうしてストーカーに殺されずにすんだ』
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