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ご相談

 仕事を辞めようかどうしようか、迷っています。辞めてどうするんだと言われて、確たる答えがあるわけではないのですが、はっきりしているのは、今の状況のままでは、未来が見えない、描けないということで…。(40代男性)

遙から

 「仕事を辞めることにしました。世界を旅行してみたいと思います」

 そう連絡をくれたのは長年、私のいろいろな我儘を聞き入れてお付き合いくださった“カーテン屋さん”だった。その男性の「匠」としての腕の確かさを私はこの目で見てきた。

良いカーテンには価値がある

 ホームセンターやネットスーパーなどで販売されている手頃なカーテンと違い、いわゆるカーテン専門店に直接オーダーするカーテンはかなり高額だ。しかし、イメージした通りのものが仕上がり、部屋に掛けると、突然、無機質だった部屋が息吹を得て、生命を吹き込まれた空間へと変化した。実は部屋のクオリティを決めるのは、カーテンだったのだと気付かせてくれる。心地よさを増し、ほっとさせてもらう。良いカーテンは投資の価値あり、だと私は知ってしまった。

 しかし、私は大阪のねーちゃんである。作ってもらう時に「いいカーテンが、安くできたらうれしいなあ」は当然だ。

 そのカーテン屋さんは「当店は高級な素材を使っておりますので…」などと慇懃に拒絶したりせず、廃版間近の布地の中から、「あ、これいいな!」と思えるものを選び出し、かなりお安い価格で作ってくれた。「引越しした」と言えば、新しい部屋の窓枠に合わせて仕立て直してくれ、「光が入らないように」と願えば、針ピンできれいに壁に止めてくれた。

 カーテンは飾り物ではなく、日々の生活を上質にするもの。彼のカーテンは、そのことを改めて教えてくれた。

 彼のカーテン屋としての矜持を感じる瞬間がある。

 それは出来上がったカーテンを箱から取り出し、レールに設置する時だ。