もうかなり過去のことだが、私があるテレビ局でそういう類の被害に遭った時、局員に「助けてほしい」と訴えでたことがある。返事は「僕たちが彼に言えないのは理解してくれますよね(だって彼は僕の上司だから)」と言われた。

 「コンプライアンス部の局長に助けを申し出たらどうだろう」と提案すると、「その局長は、彼の大学の後輩にあたるから、彼には言えない」そうだ。「じゃあ社長に言えばどうだろう」と提案すると「社長はそういう波風をなーんも立てなかったから社長になれた人なんだ」そうだ。男たちは権力に実に弱い。

 これが私のいわばミートゥになるのかもしれないが、「あなた好みの女はいかが」というマーケットで身を張ってそれを理解したうえで働いている女性は私だけではなかろう。

 事務次官の「全体を見ればわかる」というのは、その女性は笑いもし楽しげにもしている様子がそこにあったことを示唆するものだろうと推察するが、そんなもの、銀座や新地のホステスレベルの力量を、女性が働く時にはフツーに身に着けていくものだ、くらいのことにすぎない。

 すべては演技。笑顔も演技。闘うのと生きるのとを比べりゃ、生きる、を選んだに過ぎない。そして、その女性の臨界点を超えた時、闘うのだろう。

 相手は絶対認めない。理由は先に述べた通り、カッコ悪いから。ゆえにか多くの男性たちは擁護派だ。が、少数だが、女性側の力強い味方になっている男性もいる。

 政権がどうなるかよりも、この女性記者が今後出世するかどうかが私には気になる。エロいことを言われ続けながら身を張って取ってきた大スクープ。この値打ちが分からない男性組織、とても、つくづく、もったいない。

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