そして出た、「地方巡業で相撲を招いておいて文句をつけるなんて」という、お行儀の悪さを叱る戦法。招く側がへりくだらねばならぬのか、じゃあ、稼ぐ側はそれほど偉い立場なのか、という、迷路に入る。

 これは「働きたいと女性が言うから入れたのに会社に文句を言うなんて」と同じ方程式。

 私が聞く限り、最も多い言葉が「伝統だから」「文化だから」というもの。これも女性労働者に対応していなかった男性長時間労働が普通だった時代の保守系の産物。

「痛みに共感できない」この国

 ではと、登場するのがアンケート調査だったら。「あなたは土俵に上がりたいですか?」で、数字を比較する。この“行為”に、日本が男女平等ランキングで世界144カ国中、114位であることが露呈する。

 「あなたは土俵に上がりたいですか?」と私に聞かれたら、私だって「上がりたいわけねーだろ!」と答える。

 他にも、あの手この手で女性を上げたくない人たちは、そういうアンケートがあれば強くノーを言うだろう。反発感情がある人ほど声はでかいし、行動も熱い。なんせ怒っている。

 女性が人命救助をしても怒号が飛んでいる。そりゃ、感謝状をチラつかせたくらいでは女性たちは顔を出さないだろう。それくらい「領域を侵すな」という反発感情は激しく、当事者の女性たちは怖い思いをしたに違いないと想像する。

 彼女たちも土俵に上がりたくて上がったわけじゃない。もしアンケートしても「上がってみたかったのよね~」と言わないかもしれない。

 何が言いたいかというと、当然上がれる権利のある女性が、オンナであることでそれを拒絶された時の悔しさは、同じオンナでも共有ができない、ということの理解のなさ、だ。

 それがアンケートという愚行を呼ぶ。

 もう、排除、と言おう。その領域からの排除の理由がオンナ。そこに傷つくのは、排除された当事者であり、それが「そうそう!」という共感を得にくい国に我々はいる。

 それが、男女平等指数114位の国の、「痛みに共感できない」深刻さだ。

 “ミートゥー運動”が広がらないのもまた、そこにある悔しさ、痛みに、他の女性たちが共感できないからだ。なぜなら、反発への怖さであり、もっと以前に、「え? それって差別なの?」という意識の低さであり、「私は上がりたいと思いません」と発言することで得る多数派の評価をほしがるオンナの現実だ。