じゃあずっと売れ続けているタレントの顔ぶれを見た時に、それがなりたい姿かと言えば、違和感がある。私は毎日テレビに出ることは遠慮したい。自由がいい。
自分が売れる、脚光を浴びる、ということではなく、自分がかかわる番組なり作品なりが、一位を取れる。その喜びを皆と共有する。あのキャッホーイ!という感覚。
まったく、友達でもなんでもない制作者たちと心から乾杯できる感覚。それは、素直にモチベーションアップに繋がっている。
芸能界は志の異なる者の集合体だ。
脚光を浴びるために手段を選ばないタイプ。権威に好ましい発言をし、権威の機嫌を取るタイプ。すべての視聴者から好感度を得たいタイプ。ずっと時代を超えて「ここに我あり」という存在自体への執着タイプ。
番組も数字を取るためには志の違う店構えだらけだ。
制作する側の狙いどおりに道を外れないことを良しとする番組は、お行儀のいいタレントを重宝がる。製作者の狙いを超えて違うステージに行ってくれることを願う番組は、暴れてくれるタレントを重宝がる。
それらの大前提としてある、それらが狙うものとしてある、"脚光"を浴びるということ。
カネかヒトで
脚光が先か、数字が先か、ではない。地味に数字を取る番組もある。脚光を浴びた後、転がり落ちるタレントもいる。脚光は常にリスキーだ。脚光に比べたら、数字を取るほうがはるかに手堅いと私は感じている。
スターを生み出し続けたあるプロデューサーに問うてみた。
「脚光を浴びたタレントが、勘違いを起こすのを見たことがあります。その勘違いから、いつ現実に戻りますか?」
答えは、「人はたった一日で勘違いします。一度勘違いしたら、すべての仕事を失うか、大病になるかしないと、元には戻りません」
一発当てて脚光、は、私は最も薦めない。薦めるなら、カネかヒトだ。

『私はこうしてストーカーに殺されずにすんだ』
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