すると、テレビ局員は、決して尊敬しているわけでもない、もっというと、仮に軽蔑すら覚えるタレントだったとしても、数字がとれるなら王様扱いをして、機嫌をとり、決して本音を明かさず、ウソで固めた会話をせざるを得ない。そして、これもまた正しい。生きるためだ。

 だが、全員がそうというわけでもなく、昔、人格者の先輩が私を育ててくれたように、私から見て、骨のある、というか、きちんと自分の意見を持つ若手局員もいる。

 だが、意見を持つがために、上層部とやり合うことになり、長年に渡り飛ばされた。また、今でも残る名番組を企画制作した夢多き青年が、今はアルコール中毒で病んでいる。あるいは、正義感の強い社員は、ストレス性の病気を患い、今は第一線を離れて生きている。

 つまり、私の知る人格者はことごとく、病むか飛ばされるか潰れていた。

 病まず、飛ばされるドジを踏まない、屈強な精神と肉体と、誰も局内で信用しないくらいの警戒心を持つ者が、這い上がれる。それが私が見てきたテレビ局だ。

 そして、「ああ、この局員は、裏の力と出演者の要求の狭間で苦しんでいるなぁ」と感じる局員には、極力、応援したいとも思う。

 そして、私を誉めちぎる局員を、私はまず信用しない。

 こういう幾重にも張り巡らした防衛網で、私はほんの片隅で生きている。

あなたの居場所を!

 テレビ局落ちた?

 おおいにけっこう。目出度い。芸能界とかかわらないほうがいい。キツイぞ。局内で避けて通れない虚実の自分づくりに拒絶反応が出ず、病まず、勘違いタレントにハハ―ッとかしずけるしたたかさを持つ者がいれば、活躍できるかもしれない。

 芸能界と関わる場所、すべて、芸能界の毒をも食らう覚悟で入らねばならない。

 「テレビ局落ちました。もう死ぬまで見ません」と純粋に傷つき、正直で、たかが1社の否定を真に受ける謙虚な若者達に、私は断言したい。必ず居場所がある。チャンスは何度もある。どの企業も優秀な人を探している。あとは、出会いだけだ、と。

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