池坊議長も、テレビが映しだしたのはその独特な世界観。即ち、礼が大事。正しいことが好き。悪事はバレる。神様はいる。といった価値観を、この“私”が会見することで相撲界と世間に大きな影響を及ぼすと信じている。そんな世界観だ。
「この私」って誰?
正直な感想を言おう。
・・・二人とも、何とも幸せなリーダーだ。
艱難辛苦、敵から「理不尽とは思わないか」と同情されても微動だにせず「仕事ですから」と言い放てる男と、どっちが苦労しているかは、その人の吐く言葉を見ればわかる。
池坊氏も、谷岡氏も、「お嬢様」だ。
そのスタート地点から恵まれてリーダーになった。もちろん、本人の自覚では苦労と努力の人生だっただろう。それを否定するつもりはない。
しかし、残念なほどにその言葉には、人を惹きつける力がない。
それはやはり、「この私」の力を呆れるほど過信しているからだろうと想像する。
そして、多くの相撲界の人々が、多くのレスリング界の人々が、なんでこの人たちが、自分たちの「上の者」として肩をそびやかしているのかと首を傾げているんじゃないかとも想像する。
実はとても尊敬を集めているのかもしれないが、彼らを擁護する「その界の人々」は現れていないようで、私の想像はそう外れていないのではないかとも想像する。
もしそうだとすれば、そういう場合の「この私」的登場は、まずそれだけでカッコ悪い。
せめて相撲やレスリングを「守るべきもの」と本気で考えていることが伝わってくれば、これほどの違和感にはならなかったかもしれないが、改めて思い返しても、やはり「この私」の印象しか残っていない。