違和感その4

 「告白本出すの早くない? 告白というわりに中身薄いし」

 もう、笑ってしまう。『全部、言っちゃうね。』というタイトル、添えられた「本人しか語れない、ほんとうの気持ち」という惹句を見ただけで、見えてこないだろうか。その中身の薄さが。そもそも「ほんとうの」という発想というか、言葉選びに、私は幼さを見る。「ほんとうの」というのはあくまで主観に基づくものだから、その中身が読み手に手ごたえがあろうがなかろうが、関係ない。本人にとっての「本当」とか「真実」とかはそもそも客観性を求めておらず、どれほどの大事件を起こした人の告白本を読んでも、主観に基づく得手勝手なものであることなど、めずらしくもない。

 仮に、本の中身がこちらが期待するものでなかったにせよ、それはそういうものだと諦めるしかない。

 主観に基づく「本当」を描いたのなら、本人にとって本当であることが大事。他人の期待に応える衝撃的事実とそれが重なれば確かに衝撃的であろうが、きっとそれはなかなか重ならない。客観的事実を積み上げて読み解いた"田中角栄氏の真実"やら"あの事件の衝撃的事実"の並びに、"出家の衝撃的真実"が、書かれていると思うほうが間違いだろう。

 批判する人には、いったい何を期待しているのか、と、逆に問いたい。

 清水さんはそもそも作家ではない。作家なら300枚くらいの原稿用紙を、編集者がブラッシュアップを重ね、出版まである程度の歳月を要する。が、いわゆる"タレント本"のカテゴリーだと、数回の"語り"取材で、代理のライターが言葉起こしをしてちゃっちゃと出版など、常識的なこととして、日常的に行われている。

 清水富美加さんをかばおうが、批判しようが、私は「20代女性、仕事に疲れた女性、男性社会の中で、戦う精神力がまだ未完成な女性」という意味で、フツーの女性の悩みが、これほど共有されないものか、と、改めて、メディアの言論で感じるのだ。