私はオッサンの個人的な話し相手として控室に来たワケではない。オッサンは私を招いた責任者かもしれないが、ポケットマネーを出したワケではなく、会社のお金である。

 オッサン要件その7 会社のお金は僕のカネ。

 私は、いつまでもオッサン当人が気づくことのない、そして、部下がそれを気づかせることも期待できない環境で、自ら発言することになった。

 「私を一人にしてください」

 私も長い職歴の中で、オッサン対応にはいくつか引き出しがある。オッサンにはこれが効く。

 オッサン要件その8 単刀直入にノーを突きつけたら従う。

 皆が忖度しすぎて、誰も「それ、嫌われますよ」とか、「なぜ私だけがお茶くみさせられるんですか」とか言わないと、何も変化は起きない。だって、

 オッサン要件その9 環境変化を望まない。

 オッサンの時代感覚では、お茶くみはオンナの役目だし、エラいオレさまはオンナに近づいても許される、と信じきっている。

 クラブで接客してくれる女性との距離も、私との距離も、おそらく職場の女性たちとの距離も同じ。だから職場でもうっかりセクハラ加害者になってしまったりもする。

 「え? だって、いつも笑顔だったじゃないか」という逆切れは、誰もが「ノー」を言わなかったから気づかなかっただけのこと。そして、私みたいに椅子ごと距離を離しても、そのことで「離れた?え?俺、嫌われてる?」と気づくこともない。

 では、むやみに密着してきたのは、私への好意の表れなのかと言えば、そういうわけではない。

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