そして今回は家族葬。どんどん葬儀が簡略化、効率化、プライベート化されていく中で登場したスタイルを初体験することになった。

 家族葬のいいところは、葬儀が終わって以降の弔花の返礼などの手間が省け、あっという間に終えられるところだ。つまり、“楽ちん”なところだ。

謳い文句は謳い文句

 だが、「?」が浮かぶことも、いろいろ見えてきた。

 家族葬と低価格というのはセットだ。業者も低価格を謳い文句に営業する。だが、後に喪主に聞くと、「どんどん追加料金が派生し、当初の謳い文句どおりの料金で収まらなかった」という。

 例えば、セット料金にある棺には遺体が微妙に納まりきらない。両手足を伸ばした状態で納棺するには大きいサイズの棺に変更する必要があり、「膝を折って棺に入れますか? ヒザを伸ばして棺に入れますか?」と喪主は選択を迫られる。おくる側の心として後者を選ぶと「追加料金」となる。その理由は「通常、棺はすでに身体が委縮した高齢者向けの小さめのサイズにしており、普通の体格の人のサイズの棺は別料金」という理屈だそうだ。

 故人は特別デカい体格ではないが、普通の身長であることですでに「小さくないから特別料金」ということだった。

 そして、そこからが次々と追加料金が発生することとなる。

 「大きい棺なので車も大きめのものになります」。だから追加料金。

 「棺だけではなく家族も同行するならそれ用の車に変更しますので」。さらに追加料金。

 といった風に。

 高齢社会をすでに背負う読者の皆様に、ごく個人的な経験ながらお伝えしておきたい。良心的な家族葬を営む業者も当然あるだろうが、低価格を謳う業者の中にはこうやって、やむなくどんどん追加料金が重なるケースもある。“謳い文句通りにいかない家族葬”があることにご注意いただきたい。