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 彼らの姿を見ていると、成功というものには、失敗とは別の、それ自体のリスクがつきまとうということが身に染みる。

 結局、働く、ということはそういうことなのだ。
 それぞれのリスクの責任を取った、あるいは取らされようとしているリーダーたちの姿を見て思う。

 彼らの20年の変遷を知ると、1億円のお年玉をばらまく社長を始め、今、時代の寵児とされるリーダーたちも、それが決して長続きしない類のものだ、と、俯瞰で見ることができる。

ひとりの社員も「うっかり」で会社を潰せる

 著名なリーダーではなく、普通の社員の凡ミスがとんでもない損害をもたらしたニュースも記憶から消えない。最近で言うと、大阪のホームセンターで、従業員が使用済みボタン電池をまとめて保管したため過充電が発生、火事になり、3000平方メートルの建屋が焼失した。

 あるいは、札幌の不動産店で社員がスプレー缶を爆発させ、建物を1つ吹き飛ばし、近隣にも被害を与えた。彼らは危険を知ってやったのではなく、「うっかり」しただけだ。

 損害の大きさを思うと、社長たちの嘆きが聞こえてきそうだが、1人のうっかりは、企業を潰すことだってできる。これをどうすれば回避できただろう、と、「もし私が社長だったら」と頭をひねってみたが、解決策は出てこない。

 “うっかり”など、日常にいくらでも転がり、想定して前もって注意喚起を促すことなどできない。うっかり鉛筆をデスクから落とした、というレベルで、うっかり電池をまとめて置いておいたら翌日職場ごと燃えてなくなるなど、誰が想像できようか。

 スプレー缶しかり。鍵を失うとか、財布を落としたとかいう深刻さではなく、そのもっと手前の、些細なうっかりで企業を揺るがす大事件になる。

 リーダーは、リーダーたるゆえんで将来的リスクを背負い、平凡な社員1人が組織を揺るがすリスクにもなる。是となるも非となるも、それを生みだすのは“たったひとり”なのだ。