(写真:beeboys - Fotolia)

 日揮(JGC CORPORATION)という会社をご存じだろうか。石油化学・エネルギー分野を中心に、さまざまなエンジニアリング・コンストラクションプロジェクトに従事している会社だ。たとえば、UAEでの発電、造水プラントを建設し運営するプロジェクトや、ロシア北極圏でLNGプラントを建設するプロジェクトなど、厳しい環境下でのビジネスを、80年以上マネージしてきている。

 事業の特性上当然のことながら、厳しい地理・気候条件のみならず、海外各地の法制度、労働慣行、さらには政治的不安定さなど、幅広いリスクのある環境下でビジネスを行ってきた会社でもある。

 図表1の左側(a)のグラフをご覧いただこう。これは、世界の主要な建設・エンジニアリング会社を、年間平均の株主リターンの大きさ順に並べたものだ(期間は、2005年から14年の10年間)。日揮は、上位4分の1のグループから少し下がったあたりに属している。良い結果ではあるが、スターパーフォーマーではない、という感じだろうか。

 ところが、図表1の右側(b)の同様のグラフで見ると、グローバルトップクラスにある。こちらは、リスク調整後のリターンでの評価だ。

図表1 世界の主要な建設・エンジニアリング会社の株主リターン(年間平均)の分布
(出所: S&P Capital IQ; BCG ValueScience Center)  Copyright © 2016 by The Boston Consulting Group, Inc. All Rights Reserved.

 ご興味のある向きのために、少しだけ詳しく説明させていただく。まず、この業界の主要企業すべてについて、低リスクの会社の平均リターン、中リスクの会社の平均リターン、高リスクの会社の平均リターン、といった具合に、リスクに応じた平均リターンを求める。当然、高リスクなら高い平均リターン、低リスクなら低い平均リターンになる。この平均と比較してみると、JGCは得られたリターンに比して、平均的企業より圧倒的に少ないリスクとなっている。逆に言えば、リスクに対してリターンが高い。この平均値からのポジティブな「かい離」の大きさ順に、主要企業を並べたものが、図表1(b)である。

 JGC自身の株主報告書やメディアでの記事で明らかなのだが、同社は厳しいリスクにさらされる環境下でビジネスを成功させるため、リスクをどう極小化するかに知恵を絞ってきた会社だ。