(写真:AP/アフロ)

 連休の週末、米国西海岸に行ってきた。以前にこのコラムでもご紹介したスタンフォード大学のダニエル・オキモト名誉教授と船橋洋一さんが立ち上げたNPO「シリコンバレー・ジャパン・プラットフォーム」が主催したカンファレンスがナパバレーであったのだ。私自身もこの団体の趣旨に賛同してお手伝いしているので、どちらかと言えば主催者側の立場なのだが、そのひいき目を差し引いてもなかなかおもしろい会合だった。

 日本企業とシリコンバレーをつなごう、という考えで立ち上がった集まりで、日本側からは大企業経営者やベンチャー創業者、投資家の方々などさまざまなビジネス分野の出席者が集まった。米国側も元CBSニュース社長や大統領候補のひとりだった上院議員から、ベンチャー経営者やキャピタリスト、あるいはロボットの専門家などなど、多士済々な顔ぶれが揃った。

 相当バックグラウンドが異なる方々も多く、正直、議論がかみ合うかなと心配したのだが、会議のセッションだけでなくランチやディナータイムまで、結構、刺激的な議論が交わされていて興味深かった。

日本への興味はビジネスから文化まで幅広い

 印象に残ったのは、日本で感じているよりも日本に対する興味が(再度)高まってきていること、そして、その興味の対象がビジネスから文化まで幅広いことだ。

 たとえば、Toyota Research Instituteのギル・プラット氏が登壇したAI・データサイエンス・ロボットに関するセッションがあった。これを受け、セッション以外のさまざまな場で、(今はアルファベット、という社名だが、元々はグーグルの)Xのロボット事業GMやMITメディアラボの研究者、あるいは、ゴールドマンやプルデンシャルの出資を受けて急成長している野菜工場の創業者など複数の参加者と議論する機会があったのだが、「AIを含むソフトウェアとハードウェア(メカトロニクス)の融合」であるロボットが実用化に近付けば近付くほど、日本の製造業への期待感が強い、という意味のことを何度も聞かされた。

 高い信頼性を担保できるハードがあってこそ、ソフトが社会で使われる形で実用化可能だということだ。

 あるいは、デザインについてのセッションでは、「日本では当たり前に見られる細部に至るまでの徹底的なこだわりこそ、ユーザー体験(UX)を高いレベルに引き上げるための鍵だ」という意見が出され、米国人参加者からはデザイン力の優れた日本企業とのアライアンスを希望する意見が随分、出ていた(これには地域の伝統工芸から、無印良品まで、広い範囲の企業群が含まれる)。

 日本で過ごしていると、「第4次産業革命で、日本企業は周回遅れだ」とか、「シリコンバレーはインドや中国を向いていて、日本にはもう興味がない」という考えが、あたかも当然のことのように語られている。

 数年前の状況も含めて考えれば、一面の真理はあるのだが、いまこの時点では、かなりステージが変わっていて、積極的にネットワークを広げれば、いろいろなやりようがあるな、と実感した次第だ。

 この傾向に一役買っているのが、普段我々が意識していない部分も含めての「日本文化」だということも、あらためて確認させられた。