巨大デジタル企業の新名称「Tech Titan」

 現在の世界経済の成長は、かなりの部分、米国景気の持続と中国経済の堅調に支えられていることを考えると、我々も無関心ではいられない話だと思う。

 さて、この記事の中でも、アマゾンの既存小売業に対する脅威が取り上げられていたが、同社によるホールフーズ買収のニュースは記憶に新しい。個人的にも、有機栽培の野菜をはじめとするホールフーズの自然派・安全志向は好きで、このモデルが日本でも伸びないかと思っていたりしただけに、正直びっくりした。

 eコマースだけでなく、クラウドサービス、ロジスティクスといったB2Bサービス業の収益も大きく伸ばしているアマゾン。彼らのように巨大化したデジタル産業各社をTech Titanと呼ぶようになってきた。

 2017年6月末の世界の時価総額トップ5を見ると、アップル(時価総額約7,510億ドル)、アルファベット=グーグル(同6,360億ドル)、マイクロソフト(同5,320億ドル)、アマゾン(同4,630億ドル)、フェイスブック(同4,380億ドル)、とTech Titanが上位を独占している。日本勢トップのトヨタ自動車が、48位(同1,560億ドル)であることを考えると、空恐ろしい気もしてくる。また、トップ10の中には、彼らに加えて、中国のアリババグループとテンセントが入っている。

「Tech Titan」はさらに強大化する

 これを見ると、これからはTech Titanが巨大な時価総額を背景に、研究開発とM&Aを加速化し、さらに強大化するのは当然だという気もしてくる。

 ただ、少し留意しておくべきポイントがひとつある。これらの企業はすべてデータを寡占的に手に入れる地位にあることだ。資本市場は、そのデータ資産が生むであろう将来のキャッシュフローを織り込んで、高株価で評価しているわけだ。

 しかし、この「データ寡占」による競争優位は、有効性を減じる可能性がある。それは、独占禁止法によるチャレンジによってだ。

 現在のTech Titan全盛は、裏を返すと、独占禁止法制や規制実態が第3次産業革命を前提としたもので、デジタル革命の時代に即していないという一面がある。

 過去の歴史をひもとけば、19世紀の終わりから20世紀初頭は、巨大化する第3次産業革命型企業に対する制約を強める時代だった。鉄道業の集約化を背景とした1890年の米シャーマン法。これを嚆矢として、さまざまなアンチトラスト法制と規制が形作られてきた。1911年には、スタンダード石油が36社に分割される、という事態になった。この流れは、1982年のレーガン政権によるAT&Tの分割など、現代にも受け継がれてきた。